民法(相続法改正)その2
広大地の評価とは
標準的な面積の宅地と比べて著しく広大な宅地を開発しようする場合、右図のように土地の一部分を道路として供する必要があり、その部分の面積は宅地として利用することができません。相続税や贈与税の算定のために土地を評価する場合にこの点が考慮されており、平成29年末までは「広大地の評価」として最大65%の減額を受けることができます。しかし「広大地の評価」は土地の形が評価に反映されないため、路線価と面積が同じであれば、土地がどのような形でも同じ評価額となり、時価との差が生じ、問題となっていました。加えて広大地に該当するかの判断も困難であるなどの理由により、平成29年度の税制改正大綱に広大地評価の見直しが含まれておりました。
改正内容と評価への影響
平成29年6月に見直しの具体的な素案が公表されました。平成30年より面積に応じて比例的に減額する方法「広大地の評価」が廃止され、土地の形状や面積に応じて評価する方法「地積規模の大きな宅地の評価」が導入される予定です。大まかな要件は下の表の通りです。
改正前後の三大都市圏の場合の面積ごとの減額割合を比較したのが下の表です。改正後のほうが減額割合は少なくなっています。ただし改正後には下記の通り、広大地の評価では考慮されていなかった各種補正率(土地の形がいびつである場合や間口が狭い場合などの補正)が計算に含まれることとなります。
・広大地の評価 路線価×面積×広大地補正率
・地積規模の大きな宅地の評価 路線価×面積×規模格差補正率×各種補正率
今回予定されている改正の影響を受ける土地は面積が大きなものとなるため、適用の有無や減額の割合の変更により評価額が大きく変わることが見込まれます。よって評価額が高くなる場合には、相続時精算課税等による贈与で次世代に譲り渡す方が有利になることも考えられます。