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泉田裕史

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泉田裕史(いずたひろし)

泉田会計事務所

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コラム

民法(相続法改正)その2

2019年5月16日

テーマ:資産税務

(3)遺産分割に関する見直し(2019年7月1日施行)

 ①相続人が複数いる場合に、一部の相続人が、被相続人からの 遺贈や贈与によって特別に受けた利益のことを特別受益と言い ます。
 特別受益があった場合は、特別受益の価額を相続財産の価額に 加えて相続分を算定し、その相続分から特別受益の価額を控除 して特別受益者の相続分は算定されます。
 改正後の相続法では、婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動 産の贈与があった場合、その居住用不動産については特別受益 と評価されず遺産分割の計算対象から外れることになります。

 ② 被相続人の遺産は、亡くなった時点で相続人全員によって 共有している状態となります。そのため、原則銀行などの金融 機関は、遺産分割協議の前に被相続人の預金口座の払戻や名義 変更に応じない「口座凍結」状態になり、勝手に預金を引き出 すことはできませんでした。
 このような状況から生じる相続人の生活上の不利益を一部解消 するため、今改正では、預貯金の一部について単独の相続人に よる仮払制度の創設も行われました。この制度で引き出せる上 限額は、次の(イ)(ロ)のいずれか低い方の金額です。
 (イ)当該預貯金の残高の3分の1に請求を行う相続人の法定相続分 をかけた金額
 (ロ)標準的な当面の必要生活費や平均的な葬儀費用を考慮して法 務省令で定める金額(150万円)
 
 ③被相続人の遺言等によって配偶者に配偶者居住権を取得させ ることができるようにする。

(4)遺言制度に関する見直し(2019年1月13日施行)

 ①遺言書には、(イ)公正証書遺言(ロ)秘密証書遺言(ハ)自筆証書遺 言の3種類があります。
 特に、自筆証書遺言は、自分一人でいつでも作成できるため、 広く一般に利用されています。しかし、自筆証書遺言は遺言全 文、署名、日付のすべてを手書きする必要があり、財産目録
 についても手書きの必要がありました。改正案では自筆証書遺 言の内容である本文自体は手書きする必要がありますが、財産 目録の部分は手書きでなくてもよいので、パソコンなどで 作成 した紙面の1枚ずつに署名・押印をすれば有効であるとしてい ます。

 ②自筆証書遺言は、原本が1通しか存在しないにもかかわらず 公正証書遺言とは異なり、保管についての規定が一切ありませ んでした。特に自宅での保管は遺言書の紛失・偽造の可能性が あり、トラブルに発展する恐れがありました。この問題に対処 するため、今回の新法創設により、封をしていない自筆証書遺 言を法務局で保管することができるようになりました。
 この制度は、自筆証書遺言の作成後、本人が法務局にその遺言 書を持参し、本人確認を受けた後、法務局がデータ化して保管 するというものです。
 この制度を利用する主なメリットは、遺言書の紛失や破棄の心 配がない、形式不備で無効となる心配がない、検認不要ですぐ に相続手続に入れるということです。

(5)遺留分制度に関する見直し(2019年7月1日施行)
 遺留分とは、遺言の内容にかかわらず、兄弟姉妹以外の法定相 続人が取得できる最低限の相続分のことです。
 現状では、相続人に対する生前贈与については、特別受益とし て期間制限なしで遺留分の算定基礎財産に持ち戻されることに なっています。今回の改正案では、持ち戻す期間を相続開始前 の10年間の贈与に限定しており、それより前の贈与については 遺留分算定から除外することになっています。
 「遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、 遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる(原則、金銭による請求)ものとする」と改められ、事業承継に 不可欠な自社株式や事業用資産は後継者に承継しやすくなるで しょう。

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