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コラム

『封じられてきた声 映画界の性暴力』から考える、夫婦のセックスレスの課題

2022年6月29日

テーマ:セックスレス

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 夫婦問題 相談メンタルヘルス 対策セルフセラピー

●「映画界の性暴力」


2022年6月14日(火)、『クローズアップ現代』(NHK)で

『封じられてきた声 映画界の性暴力~被害をなくすために~』

という番組が放送されました。

映画界で、俳優やスタッフの女性が
性被害にあっているということ。

その事実が
当事者から語られていました。

「女優だったら、覚悟が必要」

「脱げて当たり前」

「生意気なことを言うと、仕事がなくなる」

「これを乗り越えないと、女優として認めてもらえない」

そんなふうに言われたり、
思い込まされてしまうと

「イヤだと思ってしまう自分がおかしい」

「うまく対応できない自分が悪い」

と、加害者ではなく、
自分を責めてしまう方向に向かってしまいます。



●都合のいい理屈が、真実になってしまう怖さ


本当だったら、そんなこと全然ないわけです。

「女優ならそれくらいの覚悟が必要」なんて、

それは、あくまでも男性側がつくりだした
都合のいい理屈なのですが、

それが、いつのまにか業界の暗黙の了解として
あたかも真実のようになり、

業界での共通認識になってしまうんですね。

すると、そこに疑問を持ったり
反論したりすることが、
最初から選択肢に入らなくなってしまう。

もし、それに意見したりすれば
男性だけでなく
女性からも批判される可能性もありますから。

現に、今回も「売名行為だ」とか
「合意してたんだろう」と言われたりしたといいます。

だから、ますます
声を上げづらくなるんですね。



●「夫としたくない」状況との共通点


そして、こうした状況は
映画界だけの話ではなく、

「夫とセックスしたくない」と感じている
妻にとっての家庭でも、同じだなと感じます。

もちろん、夫が、
映画界で性犯罪を行う男性と同じだと
言っているわけではありません。

あくまでも
「女性が感じている気持ち」と、
それを「取り巻く状況」が
とても似ている、ということです。

たとえば
「女優ならそれくらいの覚悟がないとやっていけない」

という理屈は

「夫婦なのにイヤだと思うのがおかしい」

「断るなんて、
妻としての務めを果たしていない」

ということと通じるものがあります。

また、俳優やスタッフは、
断ることで仕事を失う恐怖もありますが、

妻の場合も、断ることで、
今まで築きあげてきた家庭や家族を失う恐怖、

特に専業主婦の場合は、今後の生活の不安から、
断る選択肢はない・・・

と思いつめてしまいます。



●イヤだと思う側が、責められる


そして
「夫とのセックスがイヤだ、したくない」と、
うっかり誰かに相談したりすると

「妻としてのガマンが足りない」

「なにそれ、愛されてる自慢?」

と、逆に責められてしまうことも多いです。

それはまるで
性行為を強要されたと告白したら

逆に売名行為だとか、誘ったんじゃないかとか

それこそ女優としての覚悟がない、などと

責められることと似ているなあと感じます。

そして、こういう問題は、
映画界や家庭の中だけでなく、

他の多くの職場や
いろんな世界でも起きているんですよね。



●解決するためのシンプルな事実


この問題を解決するために必要な
そして、シンプルな真実は1つです。

それは、

どんな状況でも、相手が誰であっても
(他人であっても、夫であっても)

合意のないセックスは、人を傷つける、
ということ。

もっと言ってしまうならば、

合意のないセックスの強要は、
どんな理由があろうとも、レイプである。

ということです。

そこには、どんな言い訳も、
きれいごとも通用しません。

一番大事なのは、
「俳優とは」「夫婦とは」という
一般的な価値観ではなく

目の前にいる人の気持ち、です。

それが、大切な人であればあるほど、

その人の気持ちを
大切にしてほしいなと思います。

そして、
「イヤだ」と感じてしまった側も

「イヤをガマンする」解決を
選ぶのではなく、

「この状況を変えていく」
という解決を選ぶことを
決めてほしいとおもいます。

それこそが、
根本の解決につながる道なんです。

ガマン以外の解決をしたい方は、
こちらでお話を聞かせてください。

この記事を書いたプロ

松尾聡子

夫婦関係のカウンセリングのプロ

松尾聡子(Le Port(ル・ポール))

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