「離婚したいけれど、子どものために我慢してる」の落とし穴

松尾聡子

松尾聡子

テーマ:離婚

●私さえ我慢すれば・・・

「離婚したいけれど、子どものために我慢してる」

そういう方も多いのではないでしょうか。

「経済的に、シングルマザーになって
子育てする自信がない」

「子どもには、
やっぱり父親の存在が必要なんじゃないか」

「私の勝手で、
子どもに肩身の狭い思いをさせたくない」

そんな思いが
「夫とは一緒にやっていけない」
という気持ちに
ブレーキをかけるんですね。

「私さえ我慢して、
なんとか毎日をやりすごしていけばいい」

「子どもが大きくなって独立したら、
離婚しよう」

「それまでにできるだけお金を貯めて、
離婚できるように準備しておこう」

毎日、自分にそう言い聞かせて、

本当の気持ちをおさえて、ガマンして、
頑張っている方がたくさんいると思います。


●家庭内別居を続けた結果

ただ、一つ心配なことは

子どもが成長すれば、
その時にはお金も貯まっていて、
すっきり離婚できるのかな?というところです。

先日、お友だちからこんなお話を聞きました。

了承をいただいたので、
ご紹介させていただきますね。

* * * * *

ずっと家庭内別居の状態だったけれど、
お金のこともあるし、離婚はしなかったんです。

やっと長男が大学生になったけれど、
一人暮らしをしたいと言いだして。

子どもが3人もいるし、
学費や生活費でいっぱいいっぱいで、
とても一人暮らしなんてさせられない。

彼もそれはわかっているのに、
どうしても家を出たいって言い張るんです。

「これ以上、家にいたくないんだな」
って思ったのと同時に、

まるで、私の気持ちを代弁してるようだと感じました。

そして、気が付くと、
長男は夫と同じような性格になっていました。

夫の暴言を受け続けた長男が、
今度は下の子たちに同じことをしているのを見て、

今、すごく後悔してます。

どうして、もっと早く家を出なかったんだろう・・・

* * * * *

「子どもたちのために良かれと思って
離婚せずにいたことが、
結果的に子どもたちのためになってなかった」

「子どもが小さいころに別れていれば、
子どもたちの心にこんな傷をつけることもなかったのに」

そんなふうに、おっしゃっていました。

そのことに気づいたときの
後悔、つらさ、悲しさは、
とても大きなものだと思います。

でも、その時は、お金のためにも別れない方が、
子どもたちのために最善の選択だと思ったんですよね。


●選んだ道を、最善の道にする

離婚するのが正しいのか、
離婚しないのが正しいのか、

それは誰にもわかりません。

ただ、自分が選んだ道を
最善にする努力をすることはできます。

お金のために、世間体のために、
一緒にいることを選択するのも
悪いわけじゃないと思います。

ただ、夫がイヤでイヤでたまらないけれど、
離婚をしないならば、

せめてその毎日を少しでも楽しく、
心地よく変えていく努力をする、ということです。

両親が憎しみ合っている姿を
毎日子どもに見せたり、

両親のストレスや怒りを
子どもに向けたりするような生活をしない努力。

あるいは、シングルマザーになったら、
お金のために向けることになる努力を、

お子さんたちが、安心して健やかに過ごせる家庭をつくる
努力に向けてみる。

そういうことです。


●覚悟を持って選ぶ

離婚するのも覚悟がいります。

でも、離婚しないことは、
離婚と同じくらい、

もしかしたらそれ以上の覚悟が
必要なのかもしれません。

どちらの道を選んでも、
覚悟をもって進むことで

最善の道にすることが
できるはずです。

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松尾聡子
専門家

松尾聡子(カウンセラー)

Le Port(ル・ポール)

聞いて終わりではない、変化を起こすカウンセリング。知識だけではなく、実際に普段の生活ですぐに役立つ心のスキルを伝える講座。

松尾聡子プロは長崎文化放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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