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住宅インスペクションとは~その①

2014年4月28日 公開 / 2014年6月19日更新

テーマ:断熱改修・耐震改修の手順

コラムカテゴリ:住宅・建物

よく似た言葉で”インスピレーション”がありますがこちらは「直感」とか「ひらめき」という意味。
インスペクションとは真逆ですからカタカナ言葉は面白い。

ここで言うインスペクションとは、
”既存住宅や中古物件を、リフォームしたり売買する前に行う、専門家によるレビュー(評価)”

私たち建築界でもここ数年普及し始めた言葉ですから、一般の方には全くと言っていいほど知られていないのではないでしょうか?

何をするのか?

簡単に申しますと、

①依頼を受けた建物のあちこちを目で観察したり計測する

②その建物の劣化状況や耐震・断熱などの性能について、住んでいる方やこれからその建物を買おう・借りようとする方に説明や解説をする

③リフォームする際の優先順位を決める参考にしたり、売買の判断材料にしてもらう

ある意味、”その家のあら探し”になります。

床下調査
床下に潜ってホフク前進し全体をくまなく調査。床下点検口を覗くだけではわからないことも多い。

外壁破壊調査
外壁の破壊検査により発覚した土台や柱の腐朽

床下調査
普段目にすることのない場所を調査することが大事


こうなるとインスペクション(住宅診断)をする人の”立場”が問題になります。

たとえばあなたが今お住まいの家のリフォームを考えていたとします。普通に考えるとどの会社に声をかけるかが最初のアクションになります。知り合いの○○工務店とか有名な□□不動産といった会社が候補にあがります。
インターネットを使ってある程度の情報を蓄え、意を決して電話やメールをします。

やがて営業担当の方がやってきてあなたの意向を聞き、次回は設計や工事担当の人を連れてきます、という流れになることでしょう。当然頭の中にはこのくらいの予算でやってもらいたいなぁという想いはありますが、この時、当然予算は伝えませんよね。メーカー担当者は次回のアポはこの時絶対にとるのが必須とされています(笑)

次に工事関係者が営業マンと共に訪問します。あなたは再び説明を加えながら意向を工事担当者に伝えます。担当者は写真を撮ったりメモをとりながら、”その希望がいくらの実行予算で出来るか”フル回転で考えます。
会社に帰って工事内容を洗い出し、部材を拾い出し、作業量を算出します。まとまり次第営業に回し、利益を加えた見積書を作成し、やがてあなたの手元に見積書が届けられます。

ここまでの流れに異を唱えるつもりは毛頭ありませんし、あなたも疑問を感ずることはないでしょう。候補に挙がった数社に同じことを投げかけ、相見積をとることは必要なことです。良心的な会社を選定できるのであれば特に問題にはなりません。

リフォーム工事前のインスペクションは、”専門家による客観性”を加えることにより、あなたの思い描いている工事内容が妥当なものなのかを知り得る貴重な判断材料になります。
業者都合100%の悪徳リフォームの罠にはまりたくない人にとってはありがたい仕組みだと思います。

補助金(長期優良住宅化リフォーム)を得ようとするのであれば必ず行わなければならないステップになっており、また調査結果に基づく修繕工事の提案や見積りを一方的に行ってはならないと定められています。

住宅瑕疵担保責任保険協会発行ガイドライン

この制度はまだ始まったばかりで各社、料金やサービス内容はまだまだ模様眺めの段階。
耐震改修や断熱改修を含む長期優良住宅化リフォームで用いられるインスペクションは、建築士で技術者講習を受講し試験に合格した人のみとなっております。

単なる水廻りリフォームやクロスの張替え程度のリフォームを考えていても、結露による土台の劣化が発覚したり、シロアリ被害が発見されたり・・・。
予定外の出費をなくすためにもぜひインスペクションを活用してみてください。

また耐震性の向上や省エネにつながる工事もぜひ盛り込んでもらいたいものです。
実は、そうした性能向上につながるリフォームに対して、ここ数年とても厚い優遇措置が取られていることをご存知でしょうか?
下記のような補助金しかり、耐震改修による所得税控除しかり。
耐震改修特別控除

中古住宅の購入を考えている方は、購入前に必ずインスペクションを行いましょう。
住んでから後で不動産屋さんに申し出ても、修繕に応じてもらえない場合の方が圧倒的に多いと思います。

インスピレーションで買うのではなく、インスペクションを!

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<リフォームに関する補助金情報>
【長期優良住宅化リフォーム公募受付中】
専用HPはこちら(建築研究所)

長期優良住宅化リフォーム

応募期間 平成26年4月25日(金)~平成26年5月30日(金)まで
最大200万円

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【平成26年度 既築住宅・建築物における高性能建材導入促進事業(高性能建材)】
専用HPはこちら(環境共創イニシアチブ)

既築住宅高性能建材導入促進

申請期間(一次公募):平成26年5月14日(水)~平成26年6月30日(月) 17:00必着分まで。
申請期間(二次公募):平成26年8月上旬~平成26年10月下旬(予定)
最大150万円

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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