エコキュートや蓄暖など、深夜電気を使う機器に物申す
建築の現場にはたくさんの人間が関わることになります。
工務店やハウスメーカーの営業マンにはじまり、
不動産屋さん
設計担当者
現場監督さん
工務店社長
大工さん
基礎屋さん
屋根屋さん
電気屋さん
水道屋さん
サッシ屋さん
塗装屋さん
左官屋さん
タイル屋さん
ユニット屋さん
家具屋さん
建具屋さん
畳屋さん
クロス屋さん
クリ―ニング屋さん
外構屋さん
植木屋さん
・・・・
さらにその諸手続きに必要な、
建設保険代理店、広告代理店、土地家屋調査士、銀行担当者・・・などなどかなりの人がそのプロジェクトに関わります。
普通の新築住宅の工事現場には約30社以上の業種や職人さんが関わります。
それぞれ〇〇屋さんと呼び合い、担当する工事範囲がある程度常識的に決められています。
現場監督の役割は、この工事範囲を明確にして各業者に伝え、各工事がいかにスムーズに気持ち良く進められるか、ということに尽きると思っています。
・内壁の石膏ボードまでは大工さんがやって、継ぎ目のパテ処理からはクロス屋さんが行う
・屋根につける天窓は大工さんが付けるが、専用の水切りは屋根屋さんがつける
・ドアの枠は大工さんがつけるが、そこに吊るドアの採寸と取り付けは建具屋さんが行う。そこにはめこむステンドガラスは施主がインターネットで購入して建具屋さんが取りつける。壁にドアノブが当たらないようにするドアストッパーは大工さんがつける。
長年の積み上げで各会社で異なり、また現場監督の采配によって少し変わるかもしれませんが業者間での常識となっています。
最近では珍しくない、造り付けの家具。
これを現場で造りつける方法として、
①工務店が材料を材木屋さんやインターネットの無垢材専門ショップから調達し大工さんに箱をつくってもらい、
②さらに建築主がインターネットで取っ手や蝶番などの金物を購入して建具屋さんに支給して引出や扉をつくってもらう。
③塗装は自分の気に入ったようにしたいので、施主が自ら行う。塗料はインターネットで施主が購入して・・・。
そんな手順を整理していくのも現場監督の役割の一つになっています。
昔は家具屋さんと呼ばれる職種がいて加工から据え付けまでを一貫して製作するのが常識でしたが、やはりコスト的にも高くなり、施主のこだわりも手伝って、現場でもより合理性を追求した結果、こうした分業による家具の造り付け手法が最近では常識になりました。お施主さんは家具屋さんが作るのが常識だと思い込んでいて、それが高いというのが常識となっており、本物素材でないぺかぺかの家具を量販店やインターネットで買うのが常識になりつつあります。
コストのことが話に出ましたのでもう一つ。
各〇〇屋さんは、工務店・ハウスメーカー(以下HM)側からもらった図面や指示によって積算をして工事に入る前に見積書として工務店HMに提出します。この見積書の宛名はあくまで「〇〇工務店様」宛てになっており、その金額に20%~40%の利益を上乗せして工務店HMは建築主に工事見積書を提示します。現場で急な追加工事のコストについて職人と施主が話し合うことはありません。あくまで工務店HMを通じて話すことになります。
見積書には上代とかNET見積もりと呼ばれる工務店への見積書と、施主向けとか上代(ジョウダイ)見積もりと呼ばれる見積書があります。
緊急を要す追加工事の見積書を提出する場合など、工務店は業者に対して、2本立てで見積もり書の提出を依頼して、「〇〇%上乗せしといてね」と伝えて見積もり作成手間を省いています。これも業界の中では常識化していますが建築主には実態も金額もよく分りません。どの業界でも仕入れと販売の金額差、つまり粗利益は企業秘密だと思いますが、建築の業界の中では5%~50%とその巾がものすごく大きいことを知っておいた方が賢明ですね。
私は、こうした建築業界の常識と建築主が思い込んでいる常識を紐解き、できるだけ透明度の高い予算提示を行ったうえで、両者の常識のずれをなくすことが設計士の役割だと考えています。インターネットにより情報が誰でも瞬時に手に入れることができる現代ならではの家づくりに、もはや常識はありません。