お風呂はなぜあんなに寒いのか
断熱改修、耐震改修工事はパッとできません。事前の調査や計画にかなりの時間を費やしますが、不確定要素が多いのも事実です。
床下でシロアリなどの害虫被害が発見されることもしばしばです。
以前にこんな事例がありました。
「今回お風呂(ユニットバス)の改修はしないでいいわよ。2年前に入れ替えたばっかりだから」
床下に人が潜れるスペースがないこともあり、計画ではノータッチの浴室部分。
そしていよいよ工事が始まり、お風呂に隣接する廊下の床を剥がしました。
その際、お風呂側に隣接する土台がスカスカにシロアリ蟻害に遭っており、どうもお風呂の下があやしい、ということになりました。専門業者の調査によると相当被害が進んでいるようで、土台は砂のように形をとどめず、時間的にはだいぶ経っているようです。
急きょ2年程前に新設されたユニットバスを解体しました。
本当に残念でもったいないことですが、前回のユニットバス工事の際にはすでにシロアリ被害があったはずで、「臭いモノには蓋をする」が如く、見向きをされませんでした。当然建築主にもそのような報告は一切なし。大工さん、設備屋さん、現場監督さん、ユニットバス組立て屋さんなど、誰か1人でも良心のある人がいたならばこうしたことは起こらなかったはずです。
50万円以上もするユニットバスをまたしても新調する羽目になってしまいました・・・。
また、「入っているはずの断熱材が全く入っていなかった」、「床下がカビだらけで床組みの木材が腐っていて床が落ちそうになっていた」、「壁の中に気持ち悪い虫がうじゃうじゃいた」、「壁の中で結露が進み、土台や柱、筋違いといった構造材が腐っていた」などなど枚挙に暇がありません。
家の問題は実は見えないところに多くが潜んでいます。しかもそれが改修工事中に発見される。建物の断熱性能や耐震性を大変に損なう、重大な欠陥や施工不良ともとれるものばかりです。作り手の無知やモラルの低さを感じずにいられません。
多くの建築主が一言、「あ~今回思い切ってやって良かったわ~。」
現在、すべての新築住宅を対象として「瑕疵担保責任保険」の加入義務が、工務店やハウスメーカーに課せられています。当然その保険金も建築請負契約の中での一部金として建築主が負担しているわけですが、
・「しろあり被害については免責」→数年毎に専門業者による調査や消毒を経て、個別にシロアリ業者から保証される(通常5年毎)
・「保険加入当事者(工務店やハウスメーカー)の故意または重大な過失により生じた損害は免責」
という免責項目があります。
正しい断熱施工や、床下と壁内部との縁を切る「気流止め」は、まだまだすべての技術者が理解しているわけではなく、これまで述べた問題は「重大な過失」に該当する可能性が高いと個人的には思います。つまり瑕疵担保保険が利用できない可能性が高いのです。
しかも竣工後10年の保証期間なので、断熱材の施工不良による壁内結露被害はその期間内で発見されるかどうか・・・?またそれが故意または重大な過失に該当するかどうかを誰がどのタイミングで判定するのか?床下に十分な点検スペースもないような住宅で、どうやって発見するのか?
リフォーム対象の築数十年前の住宅では、当然瑕疵担保保険への加入はないと思いますので、補修費用のすべては建築主の負担になってしまします。改修工事の予算組は、少しゆとりを持たせておいた方が安心ですし、工事する職人全員に、何かおかしなところがあったらホウレンソウを必ずしてもらえるような関係を築いてもらいたいと思います。