第15回 「朗読の日」 ご報告
久しぶりに、芝居を観ました。
永井 愛 作・演出、グループる・ばる 公演 『片づけたい女たち』
幕が開くと、舞台の上は足の踏み場もない程の ゴミの山。
よくもまあこんなに散らかせたものだと、びっくりするところからスタートします。
あまりの散らかりように本当に唖然茫然で、しばらくは開いた口が塞がらないのです。
登場人物は、都会に住む中年女性3人。
彼女たちは学生時代からの友人で、突然連絡がつかなくなったツンコ(岡本 麗)を心配して
おチョビ(松金よね子)とバツミ(田岡美也子)がマンションを訪ねると、
なんとその部屋は 「ゴミの山」 に・・・
「こうなったのにはそれなりの理由があるのよ」 というツンコに
「一緒に片づけてあげる」 というおチョビとバツミ。
3人で部屋を片付けながら、ひとつのゴミをきっかけに、何気ない会話をきっかけに、
仕事や家族や友人などの 「人間関係」 や、長い間先送りにしてきた それぞれの 「人生の問題」 に、
そして、今まで見ないふりをしてきた お互いの 「心の闇」に、否応なく向き合わざるを得なくなっていく。
「部屋」を 「住む人の心の状態」 として捉え、散らかった部屋を片付けながら、3人の女性たちが、
自分がこれまでの人生で何をしてきたか、何をしてこなかったのかを整理していくのですが、
実際に芝居の中でセリフを言いながら、燃えるゴミ ・ プラスチック ・ ビン ・ カン ・ トレー ・
牛乳パック ・ 衣類 ・ 雑誌 ・ 新聞 ・ チラシ類と、ちゃんと分類しながら片づけていき、
芝居が終わる頃には 「部屋」 も、そして3人の 「心の中」 も、きれいに片付いているのです。
この作品は、2004年に初演の幕を開け、今回で3度目の再演なのですが、
私は以前一度観て、とても面白い作品だったので、再演を心待ちにしていました。
永井 愛さんの作品には、『歌わせたい男たち』 や 『ら抜きの殺意』 など
傑作がたくさんありますが、中でもこの 『片づけたい女たち』 は秀逸です。
何といっても、ツンコ(岡本 麗)とおチョビ(松金よね子)とバツミ(田岡美也子)の
切れのいい掛け合いが小気味よくて、いい味を出しています。
世の中では 「ゴミ屋敷」 が社会問題になったり 「断捨離」 がブームになって久しいですが、
「不要なものを手放せば、心も体もスッキリして気持ちがいい」 ということは解っていても
「必要な物」 と 「不要な物」 の区別は、人それぞれの価値観で違い、
それこそ簡単には片付かず、何とも悩ましいかぎりです。
そう言えば、芝居の中で、捨てるか捨てないか迷った時に
捨てる覚悟が出来るまでの取り敢えずの 「保留箱」 が、結構便利に使われていましたっけ。
「人生の上の保留箱」 も、時として必要なのかもしれない・・・・・
そんなことを思った芝居でもありました。
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