“なんとなく経営”からの脱却 ― 経営理念が中小企業を強くする理由|明確な方向性が従業員の力を一つにする
中小企業経営者様の悩みで多い「採用してもすぐ辞めてしまう」という離職の問題。実は、経営理念の浸透が定着率を高め、管理体制の負担を減らすカギです。実務経験をもとに、従業員が長く活躍する会社作りのヒントをお伝えします。
「やっと採用できたのに、また退職手続きか…」。 日々の業務や経営判断に追われる中、人の入れ替わりが激しいと、手続きを行う管理部門や経営者ご自身の負担は非常に大きくなります。
「給与も相場以上に出しているし、残業も減らした。それでも人が定着しない」 もしそうお感じであれば、それは制度の問題ではなく、会社の「軸」の部分にヒントがあるかもしれません。
【実例】「待遇」ではなく「想い」で採用を変えたA社の話
従業員20名ほどのサービス業を営むA社様の事例です。 A社は「給与は良いのに、入社半年で辞める社員」が後を絶たず、経理・総務担当者は常に入退社の手続きに追われ、疲弊していました。
そこで私は、社長に一つの提案をしました。 「面接の半分を、社長が『なぜこの事業をやっているのか』という想いを語る時間に変えてみてはいかがでしょうか」
最初は「そんな精神論で人が来るのか」と半信半疑でしたが、結果は明確でした。 理念に共感できない人は応募を辞退し、逆に「その考えにワクワクした」という熱量の高い人材だけが残るようになったのです。
管理実務から見る「理念」の効能
1年後、A社の離職率は劇的に下がりました。 管理部門の担当者様からも「退職手続きなどの後ろ向きな業務が減り、社員が働きやすくなるための制度作りに時間を使えるようになった」と安堵の声をいただいています。
理念という「軸」があると、以下の変化が起こります。
•採用のミスマッチ減:「条件」ではなく「方向性」で繋がるため、多少の困難でも辞めません
•現場の自走: 判断に迷った際、理念が「拠り所」となり、都度社長に確認しなくても現場が回ります
まとめ
経営理念は、単なる飾り言葉ではなく、組織を束ね、管理コストを下げて人を守る「最強の実務ツール」です。 まずは次の採用面接や朝礼で、社長の今の想いを少しだけ言葉にすることから始めてみてはいかがでしょうか。
「想いの言語化」や、人が定着する組織づくりについて壁打ち相手が必要な際は、いつでもお気軽にご相談ください。
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