住宅の火災保険を考える【1】これから住宅を購入・新築する予定
前回のコラム「【1】これから住宅を購入・新築する予定」はこちら↓です。
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/5130/
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2回目の今回は「持ち家:住宅ローン返済中」のケースを考えます。
まずは補償内容を考えていきましょう。
主な補償内容の考え方は前回【1】とまったく同じですので、お手間をお掛けしますが「【1】これから住宅を購入・新築する予定」もあわせてご覧ください。
水災、風災・ひょう災・雪災、不測かつ突発的な事故、個人賠償責任保険、地震保険、家財、これらをきちんと精査することで本当に必要だと思われる補償を厳選することができます。
また保険会社を選定する(相見積を取る)ことで、保険料の違いも知ることができるでしょう。多くのケースで安いものも見つかるはずです。
自ら探す手間や時間を省くためには、いわゆる複数の保険会社を扱っている乗合の代理店に確認するという手段もあります。多くの保険の代理店は無料で相談に乗ってくれます。
もちろん私に問い合わせていただいても大丈夫ですが、ご相談は有料となりますのでご承知おきください。有料である分、本当に必要な補償を厳選して、提携している代理店を通じシンプルなご案内をさせていただいています。これは火災保険に限らず生命保険も同じです。
<参照過去コラム>
生命保険の有料相談と無料相談
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/4288/
さて、宣伝は置いておきまして、今回は特約を中心に見ていきます。
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①類焼損害補償・類焼損害保険
火災事故に関わる法律の1つに「失火の責任に関する法律(失火責任法)」というものがあります。
このコラムは法律の説明を目的としていませんので簡潔にまとめますが、自分Aが火を出してしまってお隣Bさんが燃えてしまっても故意や重過失がなければお隣Bさんに対する賠償の義務を負わないということです。
反対に書けば、お隣Bさんが火を出して自分Aの家が燃えてしまってもお隣Bさんの火を出してしまった原因に故意や重過失がなければ、お隣Bさんは自分Aに対する賠償の義務を負わないのです。
結論として、自分が火を出さなければ火災保険は必要ないということではなく、お隣さんが火を出してしまったときでも自分で火災保険に加入していなければ、何の補償もされないということです。
だからこそ、火災保険は本当にたいせつです。
前置きが長くなりましたが「類焼損害補償」の説明に戻ります。
仮に万が一、自分が火を出してしまったときに、お隣さんやその周辺の方々がきちんと火災保険に加入していなかったとしましょう。
自分が火を出してしまったんだけれど、お隣さんやその周辺の方々には何も賠償する責任は負いません。とはいえ火元は自分です。それまでのお付き合いや近隣での関係を考えると、責任を負わないからといって平然と過ごせるとは思えません。
そういった場合に金銭的に助けてくれるのが「類焼損害補償」です。
自分が火を出したことで損害を受けたお隣さんやその周辺の方々の建物と家財を補償してくれますので、住宅密集地であれば必須になってくると考えられます。
ただし、逆に密集地でなければどうでしょう??
隣の家と何メートルも間があいているといったケースです。
この場合には煙や煤(すす)で迷惑を掛けてしまうのは間違いありませんが、燃え移る心配は考えにくいですので、この補償がなくても大丈夫といえそうです。
②家財明記物件
美術品・貴金属・ピアノなど1つの価格の大きなものについては、1つ1つを書き出しておく必要があります。家財の補償だけではこういったものは対象となりません。もちろん保険料が増えますが、こればかりは背に腹はかえられません。
というように、1つ1つの補償や特約についても必要か不必要かを確認することも一度時間を割いてみてもらいたいのです。
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コラム【1】と今回の【2】でせっかく知識を得たのに、何年も前に(もしくは数ヶ月前に)35年や長期にわたる火災保険の契約をしてしまっているので今更どうしようもない…と思いながら読んでくださっている人もおられるかもしれません。
いえ、どうしようもないことはありません。
火災保険というのは、実はいつでも途中解約できます。
いつでも解約できますが、必ず新しい保険契約との間ができてしまわないように、ここだけは間違わないようにしてください。住宅ローンの残っている段階で、火災保険の掛かっていない空白の期間に万が一が発生してしまった場合は、本当にどうしようもありません。細心かつ最大の注意を払ってください。
さて、話を戻します。
火災保険というのは、いつでも途中解約できます。
試しに現在加入されている保険会社へ問い合わせてみてください。
「仮に今、火災保険を解約したら、いくらお金が戻ってきますか??」
保険会社によって異なりますが、それなりに戻ってきます。
この戻ってくるお金のことを解約返戻金(かいやくへんれいきん)といいます。
35年契約で5年経過した契約を考えてみましょう。
加入当時、一括で70万円の保険料だったとします。
単純計算で5年分だと、70万円×5年/35年=10万円、ですね。
となると、70万円-10万円の60万円が戻ってくるかと聞かれれば、それは確認してみないと何とも言えませんが、なんと実際には60万円以上戻ってくるケースもあります。このあたりが普通の金融商品では考えにくい火災保険ならではの計算式(率)が設定されています。
もちろん経過年数によって一概には言えませんので、必ずご自身の契約を元に直接保険会社へ確認をお願いします。
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ただし、本来この手続きはタブー視されているように感じています。
火災保険の途中解約によって契約者へお金が戻ってくることで、火災保険の加入手続きを行った金融機関・ハウスメーカー・工務店などいわゆる代理店は、経過年数に応じて支払われた手数料を保険会社へ返還せねばなりません。
こんなことを書くとバッシングを受けてしまいそうですが、それなりに規模の大きな金融機関やハウスメーカーであれば多少の解約はそれほど大きな痛手にはならないと考えられます。しかしながら、中小規模の工務店さんにとってはつらい事実になってしまいそうです。
とはいえ、考えなければならないのは、自身と家族のための家の補償であり、限られたたいせつなお金のことなのです。
例え中小の工務店さんだったとしても、家を建てた・売った時点でそれなりの収益を上げておられるはずなので、ずばり割り切って判断をしてもらいたいと考えています。
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ご意見・お問い合わせはこちらから。
https://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/inquiry/personal/
あわせて読んでいただきたいコラム
・住宅の火災保険を考える【1】これから住宅を購入・新築する予定
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/5130/
主な補償の考え方について解説しています。
・住宅の火災保険を考える【3】持ち家:住宅ローン返済済み・一括購入
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/5171/
共済との比較や免責金額についてはこちら。
・住宅の火災保険を考える【5】まとめ・意外な見直しポイントになるのが火災保険
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/5340/
考え方を改めてまとめています。
・病気やケガで長期間働けなくなってしまったときに ~長期就業不能所得補償保険~
http://mbp-japan.com/kyoto/money-2nd/column/4319/
住宅ローンを組まれる人には必ず読んでいただきたいです。
日々をつづった日報はブログにて。【2009年9月より毎日更新中】
http://kyogokudemachifp.blog14.fc2.com/
<注記>
このコラムでは、あくまでも選択肢をお伝えしています。
最終的に決定される補償の種類や額はご自身の判断となりますことご理解をお願いします。
具体的な補償の考え方や見積りについては、お近くの保険会社や保険の代理店、不動産屋さんや工務店さん、ファイナンシャルプランナー(FP)等にご相談ください。
京極・出町FP相談の生命保険・損害保険相談はこちらから。
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