破産,個人再生,任意整理 ~(3)個人再生~
(続き)
今回は,「破産」,「個人再生」に続き,「任意整理」につきご説明します。
これまでご説明した「破産」や「個人再生」の手続きは裁判所に対し申立を行い,そのうえで裁判所に決定をもらう手続きであり,かつ,法律により規定されている手続きです。
その意味で「法的整理」ということがあります。
一方,「任意整理」は「任意」という言葉が示すとおり,法的な根拠はなく,債務者である借主と債権者である貸主とが「任意」に話合いをして,債務の返済方法について合意するという手続きです。
この「任意整理」の場合,多くのケースでは,債務自体は圧縮されることは難しいです。
つまり,300万円の借金があれば,300万円は返済することになります。
「なら,何がメリットなの?」という話になりますが,大きなポイントは,「原則」として」合意が成立した後の利息は支払わず,元金のみの返済となるということです。
これは意外と大きく,例えば,300万円の借金で年率15%の利息がつくと,それだけで45万円かかることになります。
その利息を支払わないで済むとすると,同じ45万円の支払をしても,利息がある場合は,借金が300万円のまま変わらないのに対し,利息がない場合は,255万円となります。
この説明で,返済が進みやすいということはご理解いただけると思います。
では,どのようなケースで,「法的整理」ではなく「任意整理」を選択するのか。
まず1つめは,最初に書きましたが,「借りたら返すのが当然」という考えをお持ちの場合,少なくとも,元金は支払う任意整理を選択することがあります。
また,「法的整理」の場合,裁判所に行く必要がある場合があったり(但し,実際には多くの確率で裁判所に一度も行かないで,手続きは終了します),あるいは,裁判所の決定があった時に,「官報」という政府発行誌に掲載されるので,そのようなことになると困るという方は,任意整理を選択することもあります。
ただ,任意整理も,結局は,破産や個人再生と同様に,「信用情報の事故情報」(「ブラックリスト」と表現される方もいます)として登録されることとなりますので,支払総額だけ考えると,「法的整理」のほうが有利と考えられます。
(以上「完」)