破産,個人再生,任意整理 ~(2)破産~

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:借金

(続き)

今回は「破産」につき,簡単に説明します。

破産には,お金を借りた等の債務者本人が申立を行う「自己破産」とお金を貸した側(債権者)が申立を行う「債権者破産」とがあります。

ただ,一般の方に関係があるのは,「自己破産」のほうですので,今回の「破産」の説明では,「自己破産」のことを説明することとします。

破産は,簡単にいうと,「お金を借りたりして,どうしようなない状態の方が,経済的にリセットをすることで再出発を図る」手続きです。

「リセット」という言葉を使ったのでかえってわかりづらいかもしれませんが,ゲーム等では,ゲームが終了したり,あるいは,「もう一度最初からやり直そう」という時に「リセット」ボタンを押して,最初からゲームをしますね。

「破産」は経済的な意味での人生の「リセット」,つまり,破産した時点でのプラスの財産(資産)とマイナスの財産(借金などの債務)をいったんすべて「チャラ」にしてしまうということです。

もちろん,「破産」ですから,債務のほうが多いわけで,「チャラ」にするとは債務を返済しないで済むということを表します。

ただ,そうすると,プラスの財産もすべて失い,表現を簡単にいうと,「裸一貫になって,路頭に迷う」かというと,そうでもありません。

最初に言いましたが,破産は「債務者が経済的な再スタートを切るための制度」ですから,「再スタートを切るため」に必要な限度では,プラスの財産をそのまま所持することは認められます。

つまり,通常の家財道具はそのまま所持できますし(昔の韓国ドラマにあったような,「赤い紙が貼られて使用できなくなる」等はありません),敷金を入れて借りている自宅等も基本的にはそのまま居住できます。

預金や保険も,20万円未満(保険の場合は,解約した場合の返戻金の金額で評価されます)なら解約の必要は原則ありません。

また古い車(おおむね評価が20万円未満のもの)やバイク(同様に評価が20万円以下のもの)もそのまま所有し,利用しつづけることが,原則として(但し,その車やバイクを購入した際のローン等が残っている場合は,ローン会社に回収されてしまいます)できます。

ただ,残念ながら,自宅等の不動産が債務者本人の所有等の場合は,大きな財産ですので,それは破産手続きの中で処分されて,債務の返済に充てられてしまうこととなります。

ですので,あまり大きな財産をお持ちでない方は,「破産」してしまっても,現実的には何も生活が変わらないという方は,たくさん,いらっしゃるのです。

とすれば,破産は「何も怖がる必要はない」制度ということになります。

なら,次から説明する「個人再生や任意整理」の制度は必要ない」ともなりそうですが,破産には当然デメリットもあります。

また,債務者が,破産を希望しても,破産を裁判所が認めてくれない(正確にいうと,破産は認められても,「支払わなくてよい」という「免責」を許可しない)ことがあります。

それらも含めて,次回にご説明したいと思います。

(続く)

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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