目的を見失うからこそ

太田英樹

太田英樹

テーマ:コーチングコミュニケーション

ある方とお話しする機会がありました。

元サッカー日本代表、松井選手のお父さん。

以前から、うちの会社で取り組んでいる「子ども食堂」に協力していただいていて、
私はまだちゃんとご挨拶していなかったんですが、

たまたまお会いし、どうぞどうぞと招いていただいたので、そのままお話しをうかがっていました。

最初におっしゃっていたのが、

「九褒め、一叱り」

松井さんの教育方針、というか、ポリシーだそうで、
自分目線で相手の悪いところを叱るのでは人は育たない、

今の時代、叱って価値観を押し付けるやり方では通用しない。

そんなお話しを聴かせていただきました。

全面的に共感。

私のことも質問されたんですが、
その中で、「介護の仕事をしようと思ったキッカケ」をきかれました。

以前書きましたが、

私は大学では法律を専攻していて、
介護の仕事がしたかったわけではなく、
一般企業で営業職に就くのがイヤで、たまたま老人病院の総務職として就職し、
そこからの流れで、デイケアで介護の仕事をするようになっただけ。

介護保険制度が始まるはるか前の介護業界で、流れ作業のように業務をこなす日々。

やりがいも何も感じてなかったんですが、
私なりに「挨拶は元気にしよう」と決めて、実行していました。

デイケアに出て半年、毎日同じことの繰り返しに嫌気がさし、そろそろ辞めようとかなと思っていた時に、
毎朝お迎えに行っていた90歳のおじいさんに声をかけられます。

そのおじいさんは、日頃まったく喋らない。

半年間一度も声を聞いたことがないおじいさん。

そのおじいさんが、ある朝、お迎えに行った私の耳元で、
「毎朝、あんたの笑顔を見るのが楽しみや」と、ボソッと言ってくれました。

その一言を聴いたおかげで、そこから二十数年、介護の仕事を続けることができた。

その話に松井さんが感動してくださり、私を応援したいと言ってくださりました。

松井さんとお話ししたことで、忘れていたことを思い出しました。

松井さんもおっしゃっていたんですが、
人は慣れてくると、目的を見失います。

大事なことだとわかっていても、いつのまにか見失います。

定期的に思い出すキッカケが必要。

90歳のおじいさんの一言も、
松井さんとの対話の機会も、
そのキッカケですよ、私たちの出会いは必然だったんですよと松井さんに言われて、本当にそうだなと実感しました。

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太田英樹
専門家

太田英樹(コーチングコミュニケーション講師)

株式会社インサイトハウス

介護・福祉業界を中心に人材育成と事業支援で多くの実績あり。アドラー心理学ベースのコーチング研修により、社内コミュニケーションを円滑化のみならず、人材定着率や利用者満足度を高め、事業の成長につなげます。

太田英樹プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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