目的論
あの人のせい、
この人の言動が良くない、
環境が悪い、
上司がダメ、部下が使えない、
さらには、
そんな状況に対応できない自分が悪い、
と、誰かや何かを悪者にしてしまう。
「人間の行動にはすべて原因がある」
と、フロイトは言いました。
いわゆる、原因論です。
現代心理学の礎をつくったフロイトの言うとおり、原因を特定するのはとても大事なことです。
とはいえ、原因がわかっただけでは、何も改善されません。
一時期フロイトやユングとともに活動していたアドラーが、フロイトのもとを離れ、独自の考えを唱えるようになりました。
「人間の行動にはすべて目的がある」
いわゆる目的論です。
原因ではなく、目的に意識を向けたほうが、人間関係がうまくいくよね、ということ。
例えば、職場に苦手な人がいて、その人の言動のせいで、いつもストレスが溜まる。
その人の言動をなんとかしたい、という意識の向け方が「原因論」です。
原因がわかったとして、じゃあ、それを相手に伝えて、言動を変えるように依頼、もしくは指示、あるいはお願いしたとして、
変わる?
相手からすれば、
「自分のストレスを私のせいにされた」
と思うかもしれないですし、気持ちいいことではないですよね。
仮に受け入れてくれたとしても、染み付いた言動は簡単には変わらない。
うっかり、またやってしまった時に、
「あんなにお願いしたのに、また同じことをやってる」
と、余計に意識してしまう。
そのうち、
「なんでこっちが、こんなに気を使わないといけないんだ」
と、相手がストレスになり、互いの関係がこじれます。
だから、目的に意識を向ける。
この仕事で、この職場で、どんな未来を描くか。
「気持ちよく、やりがいをもって働いている未来」だとして、
その未来の実現のために、今何をしたらその未来に近づく?
それに基づいて行動するのが、目的論です。
苦手な人に対して、言動を変えてくれとお願いするのが、その未来に近づくのか、
別の行動のほうが近づくのか、それを選択する。
私にも苦手な人はいます。
その人と言い争ったこともありますし、言い方を変えてほしいとお願いしたこともあります。
でも、何も変わらなかった。
なので、そこに意識を向けるのを手放し、
「自分がどうしたいか」に意識を向けて、それに基づいて行動しています。
そうすることで、誰もイヤな思いにならないし、
苦手だと思っていた人の、「いいところ」が見えたりします。
原因に目を向けるのを手放して、目的を意識してみませんか?