「向き合う」ではなく「寄り添う」
ショッピングモールなどで、ポケットティッシュを配っていたり、
簡単なゲームで景品を渡したりしているのってありますよね?
なんとなくは皆さんわかってるんですが、アレにもちゃんと理論理屈があるのをご存知でしょうか?
「返報性の法則」という心理学では有名な原理がおります。
簡単に言うと、「人間は、受けた恩は返したくなる」ということ。
ポケットティッシュくらいのものでも、受け取ると、話くらい聞かなきゃ申し訳ない、という心理が働きます。
ティッシュをもらったからといって、スマホの契約しようとまでは思いません。
でも、話を聞くくらいなら、と思ってしまうんですね。
今も昔も、営業手法の一つとして使われているものです。
昔と違い、今はモノが溢れている時代なので、ポケットティッシュの効果はそれほど高いものではないですが、一定の集客効果はあります。
実は、モノじゃなくても、プレゼントを贈ることができるんです。
例えば、ショッピングモールの携帯ショップのイベントがあったとします。
ポケットティッシュやゲームの景品で、ブースに座ってもらうところまで辿り着いたとしましょう。
そこで、いきなり、今はどこの携帯キャリアの、どんな機種を使っているのか、データ通信費はどのくらいか、など根掘り葉掘り聴いていくと、
せっかく座ってくれたのに、「早く切り上げて去りたい」という気持ちになってしまいます。
これは、携帯ショップ側の興味関心に基づいて質問しているので、
「相手から情報を引き出そう」とする、いわゆる「奪う」行為なんです。
じゃあ、どうするか?
こちらの興味関心ではなく、相手の興味関心を引き出す。
「今日は、ご家族でショッピングですか?」
「オシャレな帽子ですね。どこで買われたんですか?」
など、一見無駄話に思えるかもしれませんが、相手の関心がどこなのかを探す、とても大事なやりとりです。
「いや、実は、仕事が忙しくてなかなか子どもと出かけられないので、ちょっと子どもと来たんです」とか
「そうなんです、帽子にはちょっとこだわりがあって、◯◯で買ったんですよ」とか、
相手の関心にヒットすれば、お客様のほうから話してくれます。
そのお客様の関心事にとことん寄り添って話を聴くと、
「私の話を聴いてくれたこの人の話を聴いてみよう」
と、返報性の法則が働きます。
こちらの話にも関心をもって聴いてくれるようになります。
相手の関心に関心をもって話を聴くことが、プレゼントになるんです。
これは、普段の生活や仕事でも同じで、自分の意見を聞いてほしいなら、
相手の意見をとことん関心を持って聴くこと。
それだけで、物事がスムーズに運びますよ。