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コラム
記憶の抽象化
2022年6月28日
私たちの脳は、「記憶する」という機能を持っています。
その「記憶」は、時間が経てば経つほど、イメージ化、つまり抽象化されていきます。
例えば、子どもの頃に旅行に行ってとても楽しかった経験があり、記憶に残っている。
当時はもちろん細部まで鮮明に記憶されていますが、
時間が経つと、細かいシチュエーションはぼんやりとしたものになり、
「楽しかった」という抽象的な記憶になっていきます。
実は、旅行中に親に怒られたり、食事で嫌いなものが出てきたりして、旅行中ずっと楽しかったわけではないのに、
抽象化されると、そのあたりのちょっと嫌だったことは記憶から抜け落ち、
旅行全体として「楽しかった」という抽象的な経験記憶だけが残り、脳に刻み込まれます。
転職経験がある方もいらっしゃると思いますが、
いざ新しい職場で働いて、そこで嫌なことがあると、
「こんなことなら、前の職場のほうが良かった」
って思ったことないですか?
それは、前職での「嫌な記憶」が抽象化されているのとは対象的に、
現職での「嫌なこと」は具体的な経験、具体的な記憶として脳にあり、
大脳辺縁系で感情に直接影響しているせいで、そう感じているせいです。
もし仮に、前の職場に戻ることができたとして、また嫌なことが起こると、やっぱり戻らなきゃ良かったと思うでしょう。
今の職場で、辞めたいって思うようなことがあったら、
過去の記憶を具体的に思い出す作業をしてみてください。
そして、その時に大脳辺縁系で感じた感情をもう一度味わってみてください。
あの時のあの経験があったからこそ、今ここにいるんだ。
だから、自分はこの先どう行動するか。
そう考えてみてください。
また転職するという選択が、別の選択に変化するかもしれません。
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