大道芸やテレビの前説で拍手の練習をするのはなぜ?【プレゼンに笑いをプラスするコツ21】
約1週間ぶりの更新になります。先週末は四日市の歩行者天国で大道芸をしてきました。満開の桜に囲まれて、平成最後のお花見に訪れた多くのお客さんに大道芸も大いに盛り上げていただきました。たまには普段の私の仕事の様子の写真もご覧いただければと思います。最近は講演会が中心となりましたが、つい数年前まではこのような屋外でのパフォーマンスがメインでした。
終わりよければすべてよし
さて、今回から、プレゼンを聞いてくださる参加者の共感や行動につながるようなクロージングについて書いてみたいと思います。この諺を聞いたことがない方はほとんどいないと思います。
終わりよければすべてよし
私は、プレゼンやちょっとした講座についても「終わりよければすべてよし」は当てはまると思います。その根拠を心理学的な視点で解説します。
プレゼンにも活かしたい「ピーク・エンドの法則」
心理学の有名な法則で、
ピーク・エンドの法則
というものがあります。この法則はノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン氏によって20年ほど前に提唱された法則です。この法則は、
人間が経験について何らかの評価をする時に、一番強く印象に残ったときの感情と、一番最後の感情だけで判定する傾向がある
という法則です。プレゼンに置き換えると、
もっとも印象に残ったエピソードとクロージングで評価のほぼ全てが決まる
ということです。ピーク・エンドの法則については、wikipedeiaをはじめ様々なサイトで解説されていますし、Amazonでオリジナルの論文を含む洋書を入手できますので、興味のある方はぜひご覧ください。
時間が足りなくて大事なことを言いそびれるのは避けたいところ
ピーク・エンドの法則については、せっかくですので、ぜひ覚えておいてほしいです。多少段取りが悪かったり、緊張で言い間違えや言葉に詰まることがあっても、最後の最後さえしっかりと完璧な内容をお届けできれば、トータルで見たプレゼンの評価は格段に高まります。
逆に気をつけたいのは、最初の方から順番に話すことにとらわれすぎて、最後が駆け足になって大事なことを言えないまま終了になってしまうことです。最後のクロージングがグダグダだと、それまでいいお話をしていても、参加者の皆さんからの評価がイマイチになってしまう可能性があるのです。
せっかく前日まで入念に準備したのに、最後の印象が悪かったことが原因で、プレゼン全体の評価が下がってしまうのはとても残念です。そのような事態を防ぐために、話す予定の内容ごとに時間配分を見積もっておき、最後に一番重要な話を必ずすることは予め決めてしまい、時間のロスがあった時に、途中どの話を削ってもよいか、決めてから本番に臨むことをオススメします。最初は難しいかもしれませんが、経験を重ねていけば自然にできるようになります。
大道芸もクロージング次第!?
ピーク・エンドの法則はもちろん大道芸などのエンターテインメントにも当てはまります。私が屋外で大道芸をする場合は、最後に火のついた棒を口に入れて消す「ファイヤーイーティング」という技を行います。最後に一番印象の強い技を持ってくるようにしています。大道芸では、不安定な筒の上に板を置いてバランスを取る芸や、はしごや一輪車の上でジャグリングをする芸など、スリルがあり印象に残る芸で締めることが定番です。目の前の大道芸人が途中ちょいちょい失敗していたにも関わらず、最後にバシッと決めて大盛り上がりで思わず投げ銭もはずんでしまったという経験をした方も多いと思います。逆に、最初から最後まで難易度の高い技を連発していても、最後の演目がイマイチで、投げ銭を入れるのをやめたという方もいるかもしれません。まさにピーク・エンドの法則が働いている証拠です。
全くの余談ですが、最近の大道芸人は、年齢が下がるにつれてクロージングよりツカミを重要視する傾向にあると感じています。おそらく長い時間足を止めてくれない大都市の駅前などで活動する人が若手には多いことが影響していると思います。逆に、私くらいの年代の人は、短い時間でツカむのはあまり上手でなく、クロージングが上手い人が多いです。長年やっているプロの大道芸人でさえ、ツカミが上手でなくても最後をきちっとまとめることで何とかできていますので、多人数の前で話すことを職業としていない方には、プレゼンの際に多少緊張して冒頭でしどろもどろになっても全く焦らなくても大丈夫だということもお伝えしたいです。このことを知っているだけで、緊張も和らぐと思います。
次回も引き続きクロージングについて取り上げたいと思います。
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