失敗の芽を早めに見つけておく【プレゼンに笑いをプラスするコツ7】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第9回です。プレゼンの本番前に緊張を大きくする要因の1つは、「参加者に話している最中や質疑応答で想定外の質問や嫌な指摘を受けないだろうか…」という不安だと思います。この不安に対して王道で確実な対処法があります。それは、
・想定問答集を予め作っておく
ことです。
想定問答は10個もあれば十分です
ごく平凡な処方箋で拍子抜けした方もいるかもしれませんが、面倒に思わず、ぜひ前日に想定問答集を用意してください。参加者のリアクションが心配になるのは、想定外のことを言われる不安があることが大きな原因です。言われたことが事前の想定の範囲であれば、落ち着いて自分の考えを答えればよいだけです。王道ですが確実に効果がありますので、本当におすすめです。準備にかけられる時間にも限りがあると思いますので、想定問答は10個ほど用意すれば十分だと思います。もし予め用意した10個以外の質問やツッコミが出た場合は、正直に「その点については十分調べていなかったので後日改めて回答します」とお話しし、次回同じテーマでお話をする時の想定問答に加えておいてください。私も以前お客さんからの「大笑いすると手を叩くのはなぜか」という質問に答えられませんでしたが、後日別の場所でお会いした時に調べたことをお答えしたら喜んでいただけました。
(ちなみに、手を叩くのは無意識に興奮を抑えようとしている説が濃厚です。興奮している時に手を叩く霊長類が存在します)
切りかえしが上手いと評価が上がる
多くの人の前で話すことに慣れていないと、参加者の質問やツッコミが怖いと不安に思うかもしれませんが、質問やツッコミに上手に切り返すことができると自分自身の株が上がります。これは実際に私が体験したことです。高齢者を対象に行っている笑いと健康をテーマとした講演会の効果を統計的手法で検証し、学会で結果をプレゼンしました。その際に、参加者から、こんな質問が出ました。
「肩書きが大道芸人になっているが、どうやって生活しているの?」
この質問に対し、私はこう切り出しました。
「しばらく会っていない実家の両親のことを急に思い出しました」
この一言で会場に大きな笑いが起きました。その後、小規模な介護施設では利潤は出しにくいが、介護施設での経験で得た知見をより大きな規模での講演会や研修でお話しすることでビジネスとして成立する、とお答えしました。終了後の懇親会でも私に多くの方が興味を持ってくださり、話しかけてくださいました。その中には大手通信社のベテラン記者もいました。
(※学会で研究内容と関係のない質問をするのはマナー違反ですので、皆さんはこのような質問は他の学会では控えてくださいね)
先日人気グループの「嵐」が2020年をもって活動を休止するという発表がありました。「無責任ではないか」という質問に対して見事な返答をしたことで、大きく評価を上げました。
想定問答の中に、ちょっとしたユーモアを含んだ回答を用意しておくと、会場に笑いが生まれますよ。
(なお、切りかえしの例として私のような無名な大道芸人と超人気アイドルグループを同列に並べるのはいかがなものかという想定外の質問はご遠慮ください(笑))
想定問答づくりのもう1つの効用
想定問答を作る習慣が定着すると、プレゼン以外にもよい影響があります。想定問答を通じて、目の前にいる人がこれを言ったらどんなことを思うだろうかと考えるクセがつきます。それによって、プレゼンだけでなく、報告書や企画書、仕事以外でも例えばブログのような文章を書くのも上手になってきます。様々な場面で、ちょっとひと手間かけて想定問答を作ってみていただければと思います。
さて、「プレゼンに笑いをプラスするコツ」というシリーズにも関わらず、「笑い」についてじっくり取り上げていませんでした。次回からは、笑いが生まれる理由を、心理学も交えながら解説します。
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