失敗の芽を早めに見つけておく【プレゼンに笑いをプラスするコツ7】
「プレゼンに笑いをプラスするコツ」シリーズの第8回です。前回のコラムでは、プレゼンをする際には事前に練習しておいて、予め失敗しそうなところを見つけておくことが緊張を小さくするために重要であるとお伝えしました。今回はよくある失敗の1つである「言葉に詰まってしまう」ことの原因と対策を紹介したいと思います。
頭の中では完璧だったはずなのに…
プレゼンやちょっとした講座の講師をした時に、大事なところでスムーズに言葉が出てこなくてしどろもどろになってしまったという苦い経験をした方も多いのではないでしょうか?前日までに資料の準備も済ませ、頭の中で流れを完璧に把握していたはずなのに、言葉が口から出てこないとすごく焦りますよね。本番で言葉が口から出てこない事態を防ぐには、とっておきの対策があります。それは
・本番で口から言葉が出てこないことに気づく前に、一度口から出しておこう
という対策です。
なんだか禅問答みたいになってしまいました。言葉が出てこないから困ってるのであって、言葉が出てくるなら最初から問題ないだろ、とお怒りの方もいるかもしれませんが、どうかブラウザの「戻る」ボタンをクリックする前に、もう少しだけお付き合いください。言葉が出てこないことの原因に立ち返って説明します。
パワーポイントやレジュメを作った後にしてほしいこと
プレゼンをする時に、多くの場合事前の準備としてレジュメを作るかと思います。最近ではパワーポイントでスライドを作ってレジュメ代わりに配布することも当たり前になってきました。前日までにパワーポイントやレジュメを作って話すことのアウトラインは頭の中でシミュレーションもばっちりだから、後は本番を迎えるのみ…
準備はばっちりだと思いきや、ここに失敗の芽があります。本番でいざ話し始めたら言葉が口から出てこない…そうなるとめちゃくちゃ焦ります。本番で初めて言葉が出てこないことに気づいても遅いのです。ですから、パワーポイントやレジュメを作った後に、皆さんにひと手間かけてぜひとも実践していただきたいことがあります。それは
・(本番の前に)パワーポイントやレジュメに沿って即興でしゃべってみる
ことです。
時間がかかって面倒だと思うかもしれませんが、ぜひ実践していただければと思います。レジュメに沿ってしゃべってみると、必ず1か所や2か所は思ったように言葉が出てこない、全く上手く説明できない場所が出てくるはずです。そこが本番でも言葉に詰まる可能性が極めて高い場所です。ひと手間かけることによって、失敗の芽を事前に見つけることができました。そこの部分だけ重点的に対策を打てばよいのです。具体的には
1.言葉が出てこなかったところを文章として書き出してみる
2.書いた文章を実際に口にしてみる
ことをおすすめします。
実際に口に出してみると効果があります
できれば文章を書いてみるだけでなくて、実際に口に出してみることをおすすめします。私の経験の限りでは、一度口に出してみると、本番での失敗の確率が劇的に下がります。頭ではなく身体を使って覚えることが効果的なのではないかと私は考えています。
身体で覚えていると忘れにくいです。講演会ではなく大道芸のお話になりますが、ウケ方が悪いので、技の順番を変えようとか、セリフを変えてみようと試みることがあります。ところが、今までのやり方が身体にしみこんでいるため、たった一つの技の順番やセリフを変えるだけでも、新しいやり方を身体に覚え込ませておかないと、本番で今まで通り変化のない手順を半自動的に見せてしまいます。その度に、練習をさぼったらアカンと反省します(にもかかわらず、相変わらず同じ失敗を繰り返してばかりですが…)。事前に一度口に出してみる、これは本当におすすめです。
ちなみに、事前に言葉を口に出す前に、そもそも文章が浮かばないんだけど…という場合もあるかと思います。少し厳しい言い方になってしまいますが、その場合は、実は自分自身が内容をよくわかっていない可能性が高いです。資料を調べなおすなどして、時間をかけて文章を考えた方がよいと思います。
私も実践しています
これまで書いてきた内容は、私も普段お話ししないテーマで講演や研修を行うときには必ず実践しています。写真は先日の研修会の準備のために実際に使用したものです。パワーポイントを紙に印刷し、即興でしゃべってみて、言葉に詰まったところを実際にチェックし、後から左側に文章を書いて口に出して練習します。そして寝る前と本番前にちらっと眺めます。本番で紙を見ることはほとんどありませんが、手元に置いておくと不思議と安心できます。おまじないみたいな感じですね。
次回は、緊張を大きくするもう一つの切実な悩みである、「嫌なこと言われたらどうしよう…」の対策を考えてみたいと思います。
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