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拾井央雄プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

従業員が休日に起こした交通事故で懲戒処分ができますか。

拾井央雄

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テーマ:中小企業の攻め方・守り方


質問

当社の従業員が休日に交通事故を起こしました。
当社ではこれまで交通事故で懲戒したことはありませんが、今後は従業員の意識改革のため懲戒処分をしていきたいと考えています。可能でしょうか。

回答

会社が従業員を懲戒するためには、会社に懲戒権が認められなければなりません。
そのためには、懲戒となる事由と、懲戒の種類・程度が就業規則に定められている必要があります。
もし就業規則に懲戒に関する規定がなかったとすれば懲戒処分はできません。
新たに懲戒に関する規定を就業規則に設けたとしても、それによって以前の行為をさかのぼって懲戒することはできません。

次に、休日の起こした交通事故、すなわち私生活における非行を理由に会社が従業員を懲戒できるでしょうか。
当たり前のことですが、従業員の私生活における行動にまで会社の支配が及ぶわけではありません。
会社による懲戒は、従業員が企業の秩序に違反したことに対する制裁として行うものです。
したがって、私生活上の行動のうち、企業の活動や社会的評価に影響を与えるもののみ懲戒の対象になると考えられます。

企業の活動や社会的評価に影響を与えると言えるかどうかは、従業員のした行為の性質の他、会社の事業内容や規模、会社内における従業員の地位など含めて総合的に判断する必要があります。
交通事故が過失から生じるものであることも考えると、たとえ重大な人身事故であっても、従業員が休日に起こした交通事故で安易に重い懲戒処分をすることは慎むべきでしょう。

また、これまで交通事故で懲戒処分をしたことはないとのことです。
従業員の行為が就業規則上の懲戒事由にあたると言える場合であっても、同様の事例に対する懲戒は同程度のものでなければなりません。
したがって、休日の交通事故も懲戒事由になり得ることを、事前に社内に周知させておくことが必要でしょう。

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拾井央雄
専門家

拾井央雄(弁護士)

京都北山特許法律事務所

エンジニア15年〜弁理士5年と弁護士としては異例の経歴を持ち、技術系分野に精通。知的財産や技術系法務のエキスパートとして数多くの事業者を支援。また自身が住職である立場から宗教法人のサポートも手掛ける。

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