【宗教法人の管理・運営(2)】 -名称-
第1章 総則
(名称)
第1条 この寺院は,宗教法人法による宗教法人であって,「○○寺」と称する。
宗教法人の名称は、必ず規則に定めておく必要があります(法12条1項2号)。
また、登記もされます(法52条2項2号)。
「宗教法人」とは、宗教法人法によって法人格を与えられた「宗教団体」をいいます(法4条2項)。
そして「宗教団体」とは、
①宗教の教義をひろめ、
②儀式行事を行い、
③信者を教化育成することを主たる目的とする、
次の2種類の団体をいいます(法2条)。
一つ目は、礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体(同条1号)です。
これは、「単位宗教団体」と言われます。
一般的なお寺や神社がこれにあたります。
二つ目は、単位宗教団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体(同条2号)です。
これは、「包括宗教団体」と言われます。
天台宗とか日蓮宗とかがこれにあたります。
「礼拝施設を備える」ことが要件となっていますので、「礼拝施設」と言えるような物的な施設がない団体は、ここでいう単位宗教団体にあたりません。
結局、単位宗教団体であるためには、
①宗教の教義を広める
②儀式行事を行う
③信者を教化育成することを目的とする
④礼拝施設を備える
という要件を満たす必要があるということになります。
ただし「礼拝施設を備える」は、施設を所有しているか賃貸物件であるかは問題となりません。
①②③を目的にしたと言える施設なら、形態や規模は問題となりません。
反対に①②③を目的にしていると言えない施設では、いくら立派な施設を所有していても「礼拝の施設を備え」たと認めてもらうことはできません。
では、自宅にあるお仏壇を礼拝施設にして、自分を教祖とする宗教法人を設立することができるでしょうか。
①②③④を満たせば、単位宗教団体に当たる場合があるかもしれません。
しかし、それが宗教法人となるには、所轄庁の認証が必要です(法12条1項)。
この認証にあたって、「当該団体が宗教団体であること」という要件を満たしているかが確認されます(法14条1項1号)。
その確認のため、所轄庁から書類の提出が求められ、過去3年間の「宗教団体」としての活動状況を確認されます。
自宅の仏壇を礼拝施設として宗教法人を設立することも不可能ではありません。
しかし、宗教団体としての活動実態がないのに宗教法人を設立することはできません。