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拾井央雄

知的財産や技術系法務に強い理系出身の法律のプロ

拾井央雄(ひろいおうゆう) / 弁護士

京都北山特許法律事務所

コラム

【事業者】設計図と著作権侵害

2021年4月16日 公開 / 2021年6月7日更新

テーマ:中小企業の攻め方・守り方

コラムカテゴリ:法律関連

著作権

質問

取引先が当社の製品と同じ機械を作って販売しています。
以前に設計図を渡して製造を検討してもらったことがあるので、その設計図をコピーしたのではないかと思います。
製品である機械について特許などを持っていない場合、設計図の著作権に基づいて機械の販売を差し止められないでしょうか。

回答

著作権は、著作物の創作によって発生します。
そして設計図は、「学術的な性質を有する図面」として、著作物にあたる場合があります。

その設計図が著作物であると言うには、それが「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければならず、図面に表された表現に創作性が必要です。
たとえば,独特な切り取り方で内部構造を表した図面のような場合が考えられます。

設計図から作る製品に優れた創作があることと、設計図自体の創作性とは異なります。
製品に創作性があっても、それで設計図に創作性があることにはなりません。

設計図が独特な表現をあった場合、その設計図の著作権によって、製作した物の販売を差止められるでしょうか。

基本的に、図面の著作権によって差止められるのは、その図面の複製行為に限られます。
図面をもとに物を製作することは図面の複製にあたりませんので、図面の著作権を侵害することになりません。
したがって、販売を差し止めることもできないということになります。

ただし、建築図面の場合は、図面に従って建築物を完成することが「建物の著作権」を侵害することになります。
もちろん、その建物に芸術性があって著作物と認められる場合に限ります。

物自体に模倣をされたくない創作が含まれているのであれば、特許や意匠登録を事前にしておくべきです。
図面をコピーされたくないのであれば、取引先に渡す前に秘密保持契約などをきちんと結んでおくべきでしょう。

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