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全てを原則論や法的義務だけで判断してしまうと、かえって居心地の悪い世の中になりませんか?

加藤俊光

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テーマ:時々雑感【平塚|法律専門職の視点】

 去る11月11日(日)、平成24年度行政書士試験が青山学院大学相模原キャンパスで実施され、相続まちなかステーション代表加藤俊光が2年ぶりに試験監督員を務めてまいりました。
 事前の天気予報では朝から雨でしたが、幸い予報も外れて試験開始時刻の午後1時まで何とか降り出すことなく持ちこたえてくれました。

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 今回担当した試験室は、全体の中でも中規模の部屋で138人が受験予定だったのですが、当日はおよそ2割弱の方が欠席でした。それぞれ事情があるとはいえ、当日この試験室までたどり着くことができなかった方もいらっしゃったことでしょう。せめて、当日試験を無事に受けられた方には、これまでの自身の努力をたたえるとともに支えてくれた周囲への感謝の気持ちを忘れずに、精一杯自分自身の持つ力を発揮していただきたいと願わずにはいられませんでした。

 しかしながら、そんな監督員のささやかな想いとは裏腹に、ちょっと理解しがたい受験生が少なからずいらっしゃったこともまた事実です。

 試験開始の30分前になり試験上の注意等の説明をしていても、遅刻をして入室してくる方、トイレに行くために席を立つ方が続出、そんななかで参考書やノート等をしまうようにと注意をしたところ、ひとりの受験生が『それは強制か?そんなことを言われる筋合いはない。それは法的義務か?』とご発言!試験開始2分前まで押し問答が続きました。そして、最終的にはそのまま試験を受けたものの、納得がいかなかったようで試験終了後は試験監督員や試験本部員、はては会場責任者にまで食ってかかる始末でした・・・・。

 確かに、午後1時から試験開始なわけですから、本来はその時刻までに着席すればよいのではないか、参考書を見ていようがトイレに行こうが自由なはずだという主張も分からなくはありません。

 しかし、受験生全員に午後1時に試験に取り掛かってもらうためには、それまでに試験問題や解答用紙の配布を済ませておかなければなりませんし、試験室の平穏な秩序を実現・維持しておく必要があります。そのためには受験生にも最低限の協力を求める必要があり、同時に受験生にも協力する義務があります。原則論や法的義務ではなく、お互いを尊重しつつ譲り合うところは譲り合わなければ、うまくいくものまでうまくいかなくなってしまうのではないでしょうか。

 せっかく受験申し込みをしても、一生懸命試験勉強をしても、残念なことに何らかの事情で当日試験会場にたどり着けなかった人だっているのです。いったい、あの受験生は何がしたくてわざわざ受験会場までいらっしゃったのだろうか、と思わずにはいられませんでした。 

 人間が生きていくうえで、ほんの些細な誤解や思い込みを原因とするトラブルはつきものです。でも、すべてを原則論や法的義務の有無だけで判断してしまうことは、かえって居心地の悪い窮屈な世の中になりませんか?

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加藤俊光
専門家

加藤俊光(行政書士)

相続まちなかステーション/加藤法務行政書士事務所

単身者・子どものいない夫婦世帯が人生の最終章で直面する介護や医療、金銭管理、死後の事務手続、お墓、ペットなどの切実な問題に寄り添い解決。地元の在宅医療・介護の専門職と密接な連携が取れる体制にも自信あり

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