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自筆証書による遺言書と公正証書による遺言書を比較してそれぞれメリット・デメリットを説明しているものを見かけることがあります。
自筆証書による遺言書は、メリットとしては費用が安いことや簡単・手軽にできること、内容が秘密にできることが挙げられる一方、デメリットとしては内容的に無効となってしまうことや紛失・改ざんのおそれがあること、裁判所での検認手続が必要になることが挙げられているようです。
これに対して、公正証書による遺言書については、メリットとしては公証役場で公証人が作成・保管することから無効になることや紛失・改ざんのおそれがないこと、デメリットとしては費用がかかることや内容が秘密にできないことなどが挙げられているようです。
確かに、遺言公正証書を作成するには法で定められた公証人手数料が必要となります。遺言書記載財産にもよりますが、私の経験では一般的にはおよそ7万円から12万円くらいになる方がほとんどです。
しかし、遺言公正証書の原本は遺言者が120歳になるまで保管されますから、5年ないし10年保管してもらえば支払った手数料以上の安心を得ることができるはずです。
また、内容が秘密にできないという指摘もありますが、そういう方はおそらく遺言公正証書作成実務をご存知ないのでしょう。
私は、先月も平塚公証役場で70代の男性の方の遺言公正証書作成をお手伝いしてきましたが、証人は私を含めて二人とも守秘義務を負う行政書士が引き受けて、かつ証人が遺言執行者と遺言公正証書正本の預託を引き受けました。公証人も私たち行政書士も法で定められた守秘義務を負っていますので、遺言の内容はこの三人と遺言者ご本人以外には知られる可能性はないと断言できます。
以上より考えても、私には公正証書による遺言書にデメリットと言えるほどの大きな難点があるとは思えないのです。どうしても挙げるとすれば、遺言者本人が必ず公証役場まで足を運ぶ必要があることくらいでしょう。
ただし、これも私に依頼された遺言者の皆さんは、公正証書作成当日に一回だけ公証役場に足を運んでもらうだけで出来てしまいます。なぜなら、事前に必要となる資料収集などの準備や数回にわたる公証人との打ち合わせはもちろんのこと、公証人・証人二名と遺言者のスケジュールを調整して遺言作成日の決定まですべてトータルでお引き受けしているからです。
私は、できることなら日本全国から、そうでなくともせめて私の周囲から相続にひそむリスクを知らなかったために相続トラブル(『争続』)となってしまう事態を可能な限りなくしていきたい。相続に対して正しい知識を身に付けて、起こりうるリスクに対して適切な措置を講じていただくためにも、公正証書遺言にデメリットはほとんどないことをひとりでも多くの方に伝え続けていきます。