遺産分割の実態に疎い司法書士の致命的なミスが原因!せっかく遺言公正証書にしたのに相続トラブル!?
障がいをお持ちのお子さんがいらっしゃる方の切実なお悩みをうかがう機会がありました。その方の仰った『親亡き後の子の暮らしを考えれば、自分たちができる方策はどんなことでも講じておきたい』との言葉に、私も子を持つひとりの親としてまったく同感に思いました。
その方は成年後見制度にとても関心をお持ちになって、すでにかなり情報収集をし勉強されているご様子でした。確かに、仮に親が平均寿命まで生きられたとしても、残されたお子さんはその後数十年に渡っておひとりで生きていかなければならないわけですから、私も長期的な視点としては成年後見制度は高い効果が期待できると理解しています。
しかしながら、親亡き後にまず最初に直面するのは実は相続の問題なのです。相続人が障がいをお持ちのお子さんおひとりのみであれば問題はほとんど生じないかもしれませんが、兄弟姉妹などほかに相続人がいる場合には誰がどの遺産を相続するのかという遺産分割協議を行う必要があります。相続はちょうど教育資金や住宅資金が必要になる頃に発生することが多く、残念ながら譲り合いよりも権利の主張になりがちです。経済情勢は低迷し、一生のうちでまとまった金銭を手にする機会は相続くらいしかないという方は今後も増え続けるでしょうから、いざ相続の当事者になった時に冷静な判断ができる方がそれほど多くないのは無理のないことかもしれません。
もっとも、遺言があれば障がいをお持ちのお子さんだけに特別に手厚い配慮を講じておくことも可能になるのです。特に、私ども専門家が関与して遺言公正証書を作成し、その中で遺言執行者を指定しておけばほとんどの紛争は未然に回避できると断言できます。相続トラブルが急増している現状に鑑みれば、障がいをお持ちのお子さんがいらっしゃる方は、親亡き後にまず直面する相続の段階で無用な争いを未然に防ぎ穏やかに円満に財産が引き継がれるための方策として、公正証書遺言が非常に有用なものであることを知っていただきたいと考えています。
これからも、ひとりでも多くの方に『争わないための遺言書』をご提案し続けていきます。