教育訓練やリスキリング支援の拡充 ~教育訓練休暇給付金とは~
はじめに
厚生労働省より令和8年9月に「令和8年版 労働経済の分析(労働経済白書)」が公表されました。
2025年の日本経済は名目GDPが660兆円を超え、2020年5月を谷とする景気回復局面は過去3番目の長さを記録するなど、マクロ視点では堅調な成長が続いています。
しかし、中小企業経営においては、原材料高や人件費の高騰、深刻な人手不足など、好調な数字からは見えない厳しい事態に直面しています。
今回のコラムは、公表された「労働経済の分析」より、現在の労働経済の状況について解説します。第1部は分析の概要についてお話します。
マクロ経済指標の好調さとその裏側
白書によると、2025年の名目GDPは前年比4.5%増の663.5兆円、実質GDPも前年比1.1%増とプラス成長を維持しました。GDPギャップもプラス0.3%となり、需要不足の解消が進んでいます。
雇用面においても、完全失業率は2.5%と9年連続で2%台の低い水準を維持し、就業者数は6,828万人、雇用者数は6,185万人と、いずれも過去最高を更新しました。
しかし、これらのマクロデータだけでは読み取れない企業や経済の実状があります。
完全失業率の2.5%という数字は「均衡失業率(構造的・摩擦的失業率)」の水準であり、労働市場における需要不足による失業がほぼ解消していることを意味します。
つまり、日本全体が「構造的な人手不足」に陥っているということです。
財務・労務の両面の視点から見る経営リスク
財務の視点で見ると、名目GDPや企業の経常利益が過去最高を更新する一方で、実質賃金は物価上昇の影響により4年連続で減少しています。物価転嫁が十分にできていない企業や、賃上げ原資を確保できない企業は、金融機関の与信判断に影響を与えるリスクがあります。
労務の視点で見ると、人手不足が高止まりする中での採用難や従業員の離職は、事業継続のリスクになります。
単に給与を上げるだけでなく、人件費の上昇を上回る生産性の向上や、従業員の定着率を高める労務環境の構築が不可欠です。
まとめ
【今回のポイント】
- 2025年の名目GDPは663.5兆円、就業者数は6,828万人とマクロ指標は過去最高を記録
- 完全失業率2.5%は均衡失業率の水準であり、日本全体が構造的に人手不足
- 財務面での収益力強化と、労務面での人的資本投資を同時に進めることが鍵
第2部では、企業の財務動向と二極化について解説します。
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