【第1部】制度改正を企業成長の転換点に~ 2026年度の法改正の整理と対策
はじめに
かつて新型コロナウイルス感染症への緊急避難策として広まったテレワークですが、現在は持続可能な働き方のひとつとして定着しつつあります。
しかし、現場においては、「とりあえず在宅勤務を認めてみたものの、管理が曖昧なまま運用されている」ケースが散見されます。
第1部では、改めて企業がテレワークを推進すべき背景と、厚生労働省などの省庁が示すガイドライン・法的位置づけについて解説します。
テレワーク推進の背景と企業が直面する現実
厚生労働省の「テレワーク推進ガイドライン」において、テレワークは「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義されています。
企業が今、改めてテレワークに向き合う最大の理由は、深刻化する「人手不足」と「離職率の高止まり」にあります。
厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」等でも示されている通り、育児・介護・傷病などのライフイベントと仕事の両立支援は、優秀な社員の引き留め(定着率向上)が鍵となります。在宅勤務の選択肢があることは、育児休業からの早期復帰や介護離職の防止に繋がります。
さらに、採用市場においても「テレワーク制度の有無」は求職者(特に若手や専門人材)が企業を選ぶ重要な指標となっており、求人応募にダイレクトに影響を与えます。
省庁の取り組みと厳格化する法的ルール
国もこの動きをバックアップしています。
厚生労働省は令和3年3月に「テレワーク推進ガイドライン」を改定し、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことができる環境整備を呼びかけています。
注意すべきは、「テレワーク中であっても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法などの労働基準関係法令がすべて適用される」という点です。
具体的には、以下の対応が義務付けられます。
1.労働条件通知書(雇用契約書)の明示
就業場所として「労働者の自宅」や「サテライトオフィス」等を明記する必要があります。
2.労働時間の把握
タイムカード等と同等に、客観的な方法で始業・終業時刻を記録しなければなりません。
3.労災認定の適用
業務に起因する怪我や疾患であれば、自宅での作業中であっても労災保険の対象となります。
大企業やIT企業で定着が進む一方、中小企業では「導入の仕方がわからない」「対面業務が多い」などの理由で二極化が進んでいます。しかし、ルールなき導入は将来的な労務トラブルや無用な残業代未払いリスクを引き起こすため注意が必要です。
まとめ
第1部では、テレワークが企業の採用・定着に向けた経営戦略であり、労働法令の遵守が前提であることを確認しました。
【今回のポイント】
- 人手不足解消と優秀な人材の定着には、柔軟な働き方が不可欠
- 在宅勤務でも労働基準法をはじめとする各種労働法令が適用される
- 雇用契約書や就業場所の明確化など、法的手続きを怠るとリスクになる
第2部は、テレワーク導入が引き起こす労務管理のリスクと、コスト・融資への影響について解説します。
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