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出社回帰の増加は生産性向上につながるか

伊藤惠悦

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テーマ:その他

新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークは浸透しましたが、コロナ禍が明けた今、「出社回帰」を進める企業が増えています。とくに、米国では顕著な動きがみられます。先日、トランプ大統領は業務効率低下を理由に、連邦政府のリモートワークを禁止し週5日のオフィス勤務を義務づけると発表しました。また、JPモルガン・チェースなどの企業も週5日出社を義務づけました。今後も出社回帰の動きはとまらず、米大手企業の最高経営責任者(CEO)へのアンケートでは、79%が「数年以内に従業員をフルタイムでオフィスに戻す」と回答した調査結果もあります。

こうした流れは日本企業にもみられます。アマゾンジャパン(アマゾンの日本法人)は米国のアマゾン・ドット・コムと同様、原則週5日出社を社員に求めています。ほか、フルリモートを廃止し週2日の出社を推奨する企業や出社率の上限を40%から60%に引き上げる企業、コロナ禍で始まったリモートワークの在宅勤務手当を廃止するなど、出社を推奨する日本企業も増えています。

出社回帰のメリットは対面で交わす会話から思いがけない発見やアイデアが生まれ、イノベーションに繋がることが挙げられます。また、人材育成においては、「仕事は見て盗め」といった点から、言語化しにくいノウハウや考え方はリモートワークでは習得しにくいといったことを出社のメリットに挙げる企業もあります。さらには、対面での面会や交流を通じて人間関係も深まるといった点を出社回帰の理由に挙げる企業もあります。

ただ、これまでフルリモートに慣れた従業員からは、毎日の電車通勤を考えると出社に反対したくなるといった本音が聞こえそうです。

新型コロナウイルスの感染拡大でテレワークは拡大しましたが、コロナ禍が明けた今、「出社回帰」を進める企業も増えています。アマゾンジャパンやコンサルタント企業のアクセンチュアなど、週5日の出社を原則義務化する企業が現れています。

ただ、リモートワークを前提に遠方に引っ越した人にとって、いまさら出社するのは困難と反対の声も多く寄せられています。中でも、在宅勤務は子育て中の親にとって様々なメリットをもたらします。通勤時間はもちろん出勤のための身支度の時間も節約でき、家事や育児に使える時間が増えます。子どもを迎えにいくギリギリの時間まで仕事ができるのもメリットです。何より、子育て中の親にとって仕事との両立を難しくさせるのは子どもの体調不良や緊急時の対応です。こうした事項もリモートワークならば柔軟な対応が可能になります。

人手不足で採用難の企業が多い現在、簡単にフル出社に回帰しにくい側面もあります。リモート可という条件は採用に有利に働くからです。就職情報サービスのインターネット調査によると、フルリモートや居住地自由を掲げる企業に対して「志望度が上がる」と答えた学生は全体の6割超にのぼるという結果もあります。

こうした声を反映して、子育て中などの事情を配慮し、ハイブリッドワークを実施する企業もあります。週に1、2日や、月に数日などの出社目安を設け、対面と組み合わせて働く形をとります。結局のところIT系技術職やクリエイティブ、データ関連業務など、PCを主に使用する仕事かどうか、職種によってもリモートワークが向いているかどうかが分かれる部分もあります。職種や個々の事情を配慮し、ハイブリッド型が一つの正解として根付くのか、注目したいところです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)

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伊藤惠悦(税理士)

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