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伊藤惠悦(いとうけいえつ) / 税理士

伊藤輝代税理士事務所

コラム

配偶者のみ相続の場合の税負担額

2017年8月14日 公開 / 2020年6月1日更新

テーマ:相続税・贈与税

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 相続 手続き

相続税では配偶者に対する税額軽減措置があります。被相続人の配偶者が取得した相続財産の課税価格が1億6千万円以下、又は配偶者の法定相続分相当額以下である場合には、配偶者に相続税はかかりません。

もし、相続人が配偶者のみの場合はどうなるのでしょうか。相続人が配偶者のみの場合には配偶者の法定相続分は100%ですので、相続財産が100億円とか1兆円とかの場合にも、税額はゼロということになります。

でも、相続人が配偶者のみ、ということについてですが、親や子や孫、そして兄弟姉妹や甥姪もいない被相続人だったという場合だけでなく、他の相続人が相続放棄をした、他の相続人が相続欠格、相続廃除になった、という場合にも起き得ることです。

相続放棄者は、遡及的に相続人でなかったものと扱われ、その子供たちの代襲する権利もないものとされます。しかし、これは民法の扱いで、相続税法では、相続放棄は原則としてなかったものとして取り扱われます。従って、相続放棄があったことの結果としての配偶者の単独相続では、配偶者の法定相続分は100%にはなりません。

相続欠格・相続廃除も、相続人資格喪失事由です。相続欠格には被相続人または競合相続人を死亡させようとしたり、被相続人に遺言書の作成や変更を詐欺や脅迫によって強制したり、妨害したり、作成済み遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿をした場合に該当します。

相続廃除には、被相続人に対する虐待・侮辱及び本人の著しい非行を原因とする家庭裁判所の廃除審判が必要です。生前の廃除申立と遺言による廃除申立があります。

なお、相続欠格・相続廃除の場合には、欠格・廃除とされた者の子供たちの代襲相続権は消滅しません。相続欠格・相続廃除の結果は逆に、法定相続人が増えることになります。

相続欠格・相続廃除の結果として配偶者の単独相続が生じた場合には、相続税法に別段の規定がないので民法通りとなり配偶者の法定相続分は100%です。この場合には、税負担額はゼロということになります。


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