インボイス 1人あたりの業務12時間増
消費税の仕入れ税額控除の新方式「インボイス(適格請求書)制度」を巡り、免税事業者に取引価格の引き下げを求める事業者が約2割に上ることが、民間企業の調査で分かりました。約1割の企業が取引をやめる意向を示しているそうです。
MM総研が8月下旬に公表したインボイス対応に関するアンケート調査の結果で明らかになりました。調査はインボイス制度開始の約3カ月前に実施。免税事業者への対応方針では「登録事業者になってもらう」との回答が49.9%で最多でした。「消費税分の取引価格の減額」は17.6%に上り、「取引を一部または完全にやめる」と約1割が回答。「今まで通り消費税分を負担する」としたのは約2割にとどまり、「未定」の回答も約2割ありました。
公正取引委員会は、インボイス発行事業者への登録の強要や一方的な取引価格の引き下げ、取引の打ち切りが独占禁止法や下請け法違反に当たる恐れがあると注意を呼びかけています。しかし、現場では免税事業者が取引から排除されるような動きが出ていることが今回の調査では明らかになっています。
インボイス制度に対応する上での課題は、個人事業主は「どのような準備が必要かわからない」が31.7%で最多。共通した課題は「業務フローの変更による負担増」。企業規模が大きくなるほど課題に挙げる割合が増えました。また、会計システムのインボイス対応を完了したと回答したのは26.8%で、対応中は19.4%でした。
<情報提供:エヌピー通信社>