なぜ給与支払者が源泉徴収義務者で納税しなければならないのか?
新型コロナウイルスの感染はビジネスに大きな打撃を与えました。ただ、ビジネス側の打撃の受け方は一様ではなく、感染拡大が収束した時、元に戻るものと戻らないものがあります。コロナ禍は、いつかは分かりませんが、必ず終わりが来ます。その終わりが来た時に備え、自分の会社が受ける打撃の態様を見極め、対策を練っておかなければなりません。
飲食業などは、営業自粛を要請され、いわば外から枠をはめられる形で減収に追い込まれていますから、感染拡大が収束し、枠を外され平常営業に戻れば、業績は回復してくると見込まれます。こうした直接的、一時的打撃に限定される企業は、コロナ禍が継続している間を持ちこたえる資金繰り対策が重要になります。
一方、単にコロナだけが原因ではなく、構造的な要因も影響しながら売上が大きくダウンしている業界があります。たとえば、私は百貨店などがそうした業界に該当するのではないかと思っています。百貨店は以前からECや専門店に押され、好立地に店舗を構えブランド品を高値で売りさばくというビジネスモデルが揺らいでいました。その構造的問題にコロナ禍による業績悪化が上乗せされているのが今の状況です。つまり、コロナが時代の歯車の回転を加速させているのです。こうした業界はコロナ禍が収束したとしても、ある程度の回復はあるにしても、コロナ禍以前の業績まで戻ることは期待できません。この場合は資金繰り対策だけでは不十分で、体力があるうちに、リストラや業態転換などの構造的問題に手を付けなければなりません。コロナがなければ、時間をかけてビジネスモデルを再構築すればよかったものが、コロナがそんな余裕を吹き飛ばし、早急な解決を迫っているといえます。
大きな災害は直接的な被害だけではなく、時代の歯車を加速させる力を持つことに注意しなければなりません。
そして、コロナ禍が収束した時、元に戻るかどうか最も注目されるのは経済マインドです。マインドの変化は消費者すなわち需要側、及び、企業すなわち供給側双方に生じます。
経済はマインドに支配されます。好景気が長期間持続すると皆が考えれば、消費者はモノ購入やコト消費にカネを使い、需要が活発化します。企業は旺盛な需要に応えるために、カネを使い雇用を拡大し、設備投資をします。こうしたマインドが経済の好循環を呼び込みます。
ところが、今回のコロナ禍は需要側、供給側の双方のマインドに冷や水を浴びせかけました。消費者マインドは冷え込み、財布のひもを固くし、消費を控えます。企業も安易な設備投資に踏み切れず、手元流動性を厚く保とうとします。こうしたマインドの冷え込みが一時的なものと認識されれば、コロナ禍が過ぎ去れば、マインドは回復します。怖いのは、冷え込みが長期間継続し、マインドがツンドラのように凍り付いてしまい、暖かくなっても簡単に溶け出さなくなってしまうことです。そうなると、コロナ禍から回復しても、需要側、供給側ともに、また襲って来るかもしれない将来不安に備えるために、カネがあっても使うことに躊躇し、経済の縮小均衡が続く可能性があります。マインドが回復しなければ、時代の歯車の回転を加速された業界だけに留まらず、その他の業界も無傷ではいられません。
パンデミックが大規模、長期間続けば、経済マインドを回復できないほどに大きく冷え込ませる危険性が高くなります。そうならないために、早期の収束が望まれるのです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)