相続時精算課税の普及が戦略
2022年度税制改正大綱には、税務調査での「後出し経費」のルールの見直しが盛り込まれました。また帳簿の不備に対して追徴課税を上乗せするペナルティーも盛り込まれ、これらは納税者にとってはさらに税務調査が厳しくなることを意味します。
税務調査の場面では、仮装・隠蔽や無申告を指摘された納税者が、それまで申告していなかった簿外経費を持ち出して所得を減らそうとする〝後出し〟をすることが少なくありませんでした。
こうした簿外経費を大綱では、「適正な記帳や申告が行われていない納税者については、真実の所得把握に係る税務当局の執行コストが多大で、行政制裁を適用する際の立証に困難を伴う」としたうえで、簿外経費の〝後出し〟で「悪質な納税者を利するような事例も生じている」ことから、厳格化に踏み切りました。
23年からは、仮装・隠蔽・無申告のいずれかがあった年の確定申告書に記載されなかった経費については、帳簿書類などにより費用が生じたこと、支出先の相手先が明らかであり反面調査によって支出が確かめられることなどの条件を満たす場合を除いては、原則として損金にできないこととされました。
また過少申告加算税および無申告加算税については、税務調査時に調査官から求められた帳簿を提出できなかったり、売上金額や収入金額の記帳が不十分だったりしたときには、通常の過少申告加算税や無申告加算税の額に、ペナルティーが加算される見直しが盛り込まれました。
具体的には、帳簿を提出できないか、提出したとしても売上金額または収入金額の2分の1以上が記載されていなかったときには本則の加算税に10%が上乗せされます。たとえ提出したとしても、売上金額または収入金額の3分の1以上が記載されていなかったときは5%が上乗せされるというものです。24年1月以降に法定申告期限が到来する国税に適用されることとなっています。
<情報提供:エヌピー通信社>