その子の内側の体験の世界14
「その子の内側の体験の世界」第79回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
もう一度、読み直しましょう。
「その子を見守る」11
「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
発達障害とは
「発達障害」とはどのようなものなのかを再度説明します。
現在、発達障害の診断には、世界保健機構(WHO)によるICDと、アメリカ精神医学会が策定したDSMという診断基準が用いられています。子どもの相談で相談機関や医療機関を訪れたときには、これらの診断基準に基づいた名称が使われると思いますので、簡単に説明します。
現在、DSMの最新版は、2013年に発行されたDSM—5です。この改定のときに障害の定義や名称について見直しがされ、「発達障害」は「神経発達症群」、各障害名も「障害」という言葉は極力使わずに「〇〇症」という翻訳名に変わりました。
しかし、2019年5月のWHO総会で承認されたICD—11が日本国内で適用されるまでは、公文書などではICD—10に準拠しているのが現状です。一般的に知られている「発達障害」という名称を使用し、障害特性については、DSM—5で採用されている名称を使用しています。
「発達障害」とは何なのか簡単に説明します。
発達障害は次の7つに分類されます。それは、①知的能力障害群(知的障害)、②コミュニケーション症群、③自閉スペクトラム症、④注意欠如・多動症(ADHD)、⑤限局性学習症(学習障害、LD)、⑥発達性協調運動症、⑦そのほかの神経発達症群です。
ネット上では、「発達障害」という名称がロゴ化しているように思えます。「発達障害」は、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。つまり、脳の機能障害なのです。それで得意・不得意の特性と、その子が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生します。発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは十人十色です。一概に発達障害といっても、前述のとおり7つに分類されるのです。また、その症状の特徴や子どもの思いや対応などは千差万別です。では、その7つの分類の特徴や対処などについて次回に説明します。
次回に続きます。