やりとりから関心の共有が始まる2
「その子の内側の体験の世界」第3回目を解説します。
キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
その子を知る2
その子の「精神発達」をどうとらえるかですが、
私たちの「こころ」の仕組みは、個人の内側だけで成り立っているのではなく、その外の世界に社会的・共同的な広がりとつながりをもってはじめて成り立っています。
したがって、そのようなしくみができあがっていく発達のプロセスは、脳の神経組織がDNAのプロセスどおりに成熟を果たしていくだけの過程ではありません。
「こころ」がはらむ共同性・社会性を子どもが外から社会的に学習していく過程という面を深く備えているのです。
そのために、その社会における文化のあり方次第で、精神発達のあり方は多様なヴァリエーションをもつと考えられています。
時代や文化を超えて万古不易の精神発達はありえません。
したがって、時代や文化の差を超えて普遍的な発達論やその方法もあり得ないのです。
なので、子どもは本来こう育つという精神発達、いわゆる「正常発達」なるものがこの世に存在するわけではありません。
ふつう正常発達と呼ばれるものは、その時代と社会のなかで、そこでもっとも一般的な養育形態を通じて育った子どもたちをたくさん集めて平均をとれば、どんな発達のパターン(定型)が取り出せるかというものに過ぎません。
つまり、精神発達そのものに普遍的な決定版は存在しないのです。
次回に続きます。