その子の内側の体験の世界78

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育て支援

その子の内側の体験の世界」第78回目を解説します。

 キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
 「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
 その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
 また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
 親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
 これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
 もう一度、読み直しましょう。


「その子を見守る」10
 「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
 その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。

 なぜ、診断に不一致が起きるのか

 なぜ、診断に不一致が起きるのでしょうか。障害相互だけではなく定型発達との間でも切れ目のない連続性をもっています。こうした連続的な切れ目のない分布に、あえて人為的な境界線を引いて「アスペルガー症候群」「自閉症」「知的障害」「定型発達」等に切り分けるのが診断ですが、実際にはどちらともみえる、どちらともつかないケースがたくさん出てきて、たとえ操作的診断を用いてもやはり診断の不一致が起きます。
 診断の不一致が起きるもう一つの要因は、子どもは日々成長しています。まだ発達の道を歩んでいるのです。例えば、4歳の時A地点にいた太郎くんは、発達の道を歩んで、10歳の時にはA'のところまでたどり着いています。太郎くんなりにずいぶん成長してきたわけですが、他のみんなも発達しているため、10歳の分布の中では平均から水が開いて、4歳の時よりも重い診断名に変わることが予想されます。もう一人のB子さんは、4歳の時B地点にいましたが、10歳の時にはB’のところまでたどり着きました。B’地点までたどり着いたことにより、4歳の時よりも軽い診断名に変わることが予想されます。
 このように診断の時点によって、診断名は変わる可能性をもっています。前に診てもらった病院では「〇〇」だったのに、今度の病院では「△△」という不一致はまれではありません。厳密にいえば、発達期が過ぎるまでは確定診断はできないということです。この意味で、発達障害の「早期診断」やそれに基づく「診断の告知」には、極めて慎重に行うものであることが理解できます。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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