その子の内側の体験の世界63

吉田洋一

吉田洋一

テーマ:子育て支援

 その子の内側の体験の世界」第63回目を解説します。

 キーワードは、「その子を知る」「その子にはたらきかける」「その子を見守る」です。
 「その子を見守る」の意は、その子を放ったらかしにするという意味ではありません。
 その子の特性を理解し、その子が社会に積極的にかかわることをサポートするという意味です。
 また、今まで解説してきたことと重複するかもしれませんので、今までのコラムも再読していただければ幸いです。
次は、「その子にはたらきかける」です。
 親は、わが子が5歳になるまでに積極的にかかわることがとてもたいせつになります。
 これは、子育ては「脳を育てること」で詳細に解説しました。
 もう一度、読み直しましょう。


「その子にはたらきかける」20
 
 指さし(言語獲得のプロセス)
 
 8か月から10か月を過ぎると「指さし」がわかるようになります。指さしとは、同じ対象へ一緒に関心を向ける共同注意に、その対象を指でさすという動作が先行するようになったものをいいます。「指をさして特定の対象を相手に向かって提示する」という身振りによる表現行為です。発達的には、まず相手が指でさしたものに眼を向けることからはじまり、やがて自分のほうが指をさして相手に注意を向けさせるようになります。
 言語発達の研究において指さしが重視されるのは、有意味言語のはじまりに必ず先んじてみられる現象とされるからです。
 指さしが重視される3つの事由は、
 1 相手への伝達を意図した明らかな「表現行為」とみなせること
 2 指さしでは「指す人ー指された対象ーそれを見る人」という、いわゆる「三項関係」が形成され、「話し手ー話の内容ー聞き手」という言語コミュニケー ションの祖型とみなせること
 3 事実、指さしがみられない子どもでは、言語発達がしばしば大きく遅れること
 この3つの理由から、指さしは言語発達の歩みのチェックポイントとして重視されてきました。胎内では母親の声を聞き覚えるところからスタートした養育者との頻繁な交流が、世界のとらえと世界のかかわりをステップアップさせていき、その蓄積のうえに言葉が開花します。「指さし」は、次に有意味言語(言葉)がはじまることを告げる重要な言語発達の里程標とされます。

 次回に続きます。

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吉田洋一
専門家

吉田洋一(心身発達の心理士)

一般社団法人JSTC

子どもがテニスを通じて、身体の動かし方や潜在的な能力を引き出し、運動の基礎づくりをサポート。さらに子どもが主体的に取り組む大会を企画開催し、その中で対話的な深い学びを習得し、自律性を高める指導を行う。

吉田洋一プロはIBC岩手放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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