学業不振のとらえと支援③
<知的障害や自閉症スペクトラム>
注意集中や衝動コントロールの力は、発達を通して培われる力だから、発達のおくれはしばしばADHDの特徴をもたらします。知的障害や自閉症スペクトラムの子どもたちに多いのです。
とりわけ関係の発達におくれる自閉症スペクトラムでは衝動コントロールの力が身につきにくいうえ、まわりにあわせず自分のペースで動く傾向が強いため、ADHDの診断基準にしばしばあてはまります。
そこで操作的診断では、仮にADHDの診断基準を満たしても、同時に自閉症スペクトラムの基準も満たす場合はそれを優先してADHDとはしないルールになっています。しかし、実地には両方の診断名がついているケースが少なくありません。実際にはどちらと明確に分けられない微妙なケースも多く、各種の発達障害はすべて互いにつながりをもっているためです。そうみれば、自閉症とADHDの間にも連続的なスペクトラムが見出せるのです。次回に続きます。
参考文献 子どものための精神医学 滝川一廣著