摂食障害と漢方薬
薬局薬剤師として、薬局店頭で生活指導もしています。
店頭で処方薬を渡す際の生活指導の一つをご紹介します。
店頭2~3分でお伝えして、ご本人の生活改善につながりやすく、次回の受診での検査を楽しみにしていただいています。
今回は「検査結果で貧血気味になって来た酒好きの患者さんが、太って来た」とおっしゃったことに対してです。
アルコールを分解する酵素に必要な亜鉛は1分子当たり4個
お酒を飲むと酔っぱらいます。酔っぱらって気持ちよくなるという事は、脳にアルコールが伝わっているということ。速やかにこの薬物を代謝するために、アルコールを分解する酵素(アルコール脱水素酵素)が働きます。このアルコール脱水素酵素は分子量約85,000で、構造を維持する亜鉛と活性を維持する亜鉛が1分子に4個必要です。
赤血球の膜にも亜鉛は必要
赤血球は、体中に酸素を運搬する血液中の血球成分です。赤い色素を持っているので、血液は赤く見えます。
赤血球は、体の隅々まで酸素を運ぶ役割をしていますが、その通路である毛細血管が隅々まで赤血球の大きさに対応する太さではありません。末端の方は、赤血球の直径の半分ほどしかないために、赤血球はからだを半分に折り曲げて通過しています。
この赤血球の膜成分の一つが金属ミネラルの亜鉛です。
亜鉛が足りないと、末梢の細い血管を通過するときに赤血球は壊れてしまいます。
アルコールの飲み過ぎで、赤血球の膜に必要な亜鉛まで使い込まないようにしないといけませんね。定期的な血液検査で正常範囲の下限に近づいて来るようなら、今の酒量を控えてみましょう。
ちなみに、赤血球の寿命は120日あります。
今の血液検査の値は、2~3か月前からの生活習慣の結果を表現しています。
生活習慣を改善する時も2~3か月スパンで計画してみてください。
インスリンに必要な亜鉛は2個
ちなみに、インスリンに必要な亜鉛は1分子につき2個です。正常に膵臓からインスリンが分泌されるときにも亜鉛が必要です。酒を飲んで、亜鉛を使い込んでいたら正常な分泌が出来なくなります。
酒を飲んで血糖値が上がってきた方は、酒を減らすだけでとてもわかりやすく血糖値が落ち着きます。そればかりか、亜鉛不足は尿酸の上昇も引き起こしているので、中性脂肪値や尿酸値まで下がります。
インスリンの働きで、腹が減る
インスリンの作用低下の初めのころは、不足を補おうとインスリン分泌が盛んになります。
ところが、インスリンはもともと血糖値を下げる働きを持つヒトのからだ唯一のホルモンです。血糖値が下がり過ぎると命にかかわるので、インスリンは血糖値を下げるだけでなく同時に摂食中枢にも働きます。それで、腹が減って食べてしまうのです。
一部の血糖低下薬の服用で腹が減るのは、薬で分泌されたインスリンのせいです。
あなたの食い意地のせいばかりでもありません。食べ過ぎないよう用心してください。
気づかないうちに徐々に食べる量が増えているから、太って来ているのです。
その上、代謝には赤血球が運んでくる酸素が必要ですし、の最終段階でエネルギーを作り出す電子伝達系では、鉄を必要とする酵素が活躍していますから、鉄不足のからだではやはり太ってしまうのです。
飲酒後に腹が減るのは、飲みすぎで起きた低血糖
ただし、酒を飲んだ後に腹が減ってラーメンやおにぎりを食べたくなるのは低血糖が起きているせいです。肝臓の働きが解毒でオーバーワークになっていて、初期の血糖コントロールが出来なくなっている証拠です。このような飲み方を続けていると、体を壊してしまいかねません。上手に美味しくお飲みくださいね。
効果的に酒を減らすには
減酒をするかしないかで、次回の検査に反映していますよ。
減酒の仕方は、1回に飲む量を減らす方法と、休肝日を作る方法があります。
おススメは、休肝日を作る方法です。理由は、酒に酔いやすくなるからです。
アルコールの解毒に必要な体内酵素は1つではなく、酒を飲めば飲むほど誘導されて量が増える酵素があります。休肝日を作るだけで、この応援部隊の酵素誘導が落ち着きますから、効果的に酔えるようになります。
店頭には効果的に改善する漢方薬やサプリメントもありますが、
ま、やってみてください!今までより少ない量で、酔っぱらいますから!
おまけに、次回の検査が改善されます。
お楽しみに♪