脊柱管狭窄症の太もも痛が軽減、79歳女性の鍼灸施術5回の経過

中田和宏

中田和宏

テーマ:施術例

「もう年だから仕方ない」。病院でそう言われて、痛みをあきらめかけていませんか?
先日、当院に相談にいらっしゃった79歳の女性も、まさにそうした思いを抱えていました。
整形外科で脊柱管狭窄症と診断され、投薬や注射を受けても朝のつらさが取れず、不安を感じての来院でした。

今回は、この方の太ももの痛みが軽くなったケースを通じて、あきらめる前にできることをお伝えします。

結論からお伝えすると、この方は5回の施術で「とても楽になった」と喜んでくださいました。
変形や老化現象と診断されても、症状の軽減は十分に可能だと思います。

朝がつらい、太ももの痛みで来院された79歳女性

意外と知られていないのですが、脊柱管狭窄症の痛みは「出る場所」と「原因の場所」が離れていることがあります。

この方の主な訴えは、両方の太ももの前側の痛みでした。
特に右側が強く、起床時から午前中にかけて強く痛み、立ち上がりや歩き始めがつらいという状態です。
午後になるとやや楽になるものの、立ち座りや歩行時の痛みが続いていました。

脊柱管狭窄症とは

背骨の中を通る神経の通り道が狭くなり、神経が圧迫されて痛みやしびれが出る状態のことです。
2〜3か月前から症状が出はじめ、整形外科で痛み止めや胃薬、ビタミンB12の投薬に加え、注射やリハビリも受けておられました。
それでも起床時の痛みや立ち上がりのつらさが残り、「年齢のせいだから仕方ない」と言われて不安を感じ、当院を訪れてくださったのです。

整形外科で処方されていたのは、痛み止めのエトドラク、胃を守るためのランソプラゾール、そして神経の働きを助けるビタミンB12のメチコバールでした。
加えて注射やリハビリにも通っておられました。
これだけの治療を受けても朝のつらさが残るというのは、ご本人にとって本当に心細かったことと思います。

来院のきっかけは、ご友人からの紹介でした。
以前その方の腰痛が当院でよくなったことを覚えていてくださったそうです。
こうして人から人へとつないでいただけることを、私は何よりありがたく思っています。

初めてお会いしたとき、この方が一番つらいと仰っていたのは、朝の立ち上がりの瞬間でした。
午後になれば動けるのに、なぜ朝だけこんなに痛むのか…。
そのご不安に、まずは丁寧にお応えするところから施術は始まります。

なぜ太ももが痛むのか。鍼灸院としての見立て

お話を丁寧に伺い、全身の状態を確かめたうえで、私はこう判断しました。
腰椎の上部にあたるL2の変形によって大腿神経が刺激され、太ももの前面に痛みが出ているのだろうと。

大腿神経とは、太ももの前側の感覚と動きをつかさどる神経のことです。
腰の神経が刺激されると、離れた太ももに痛みが現れる。
これが「原因の場所」と「痛む場所」がずれる理由です。

あわせて私が着目したのは、加齢による腎虚でした。
腎虚とは、東洋医学でいう加齢や体力低下によって回復力が落ちている状態を指します。
長年の生活のなかで自律神経のバランスが崩れ、本来体に備わっている回復力が弱っている。
だからこそ、朝のこわばりや動き始めの痛みが強く出るのだと考えたのです。

当院では、さまざまなお悩みの原因の一つに、自律神経のバランスの乱れがあると考えています。
痛みのある筋肉や組織はかたく凝り、凝ると血流が悪くなって栄養が回らず、さらにコリが強くなる。
その血流をコントロールしているのが自律神経です。
長年の生活習慣でこのバランスが崩れていると、体調がなかなか回復しません。

鍼灸治療は古くから、この自律神経のバランスを整えて弱った回復力を取り戻すことを得意としてきました。
回復力が戻れば、痛みや血行不良、内臓機能の低下といった不調が改善に向かいます。
今回のケースでも、私はこの考え方を土台に施術方針を組み立てました。

私が大切にしているのは、痛む場所だけを追いかけないことです。
神経への刺激をやわらげるために腰の緊張をゆるめて血流を改善し、同時に全身の回復力を高める。
この二本立てで、朝のつらさそのものを減らすことを目標にしました。

5回の施術で「とても楽になった」と言われるまでの経過

ここからは、実際にどのような施術を重ねたのかをお伝えします。同じ悩みを持つ方の参考になればうれしいです。

初診から3診目までは、腎兪と気海兪というツボに低周波鍼通電療法を行いました。
低周波鍼通電療法とは、鍼に微弱な電気を流し、深部の筋肉や神経の緊張をやわらげる方法のことです。
腰から骨盤まわりの緊張をゆるめることを中心に施術を進めました。

2診目には、痛みが2日間軽くなったとのお話があり、同じ施術を続けながら、座った姿勢で足三里にお灸を加えました。
足三里は、血流改善や下肢の疲労回復に用いられる代表的なツボです。

4診目になると、起床時のこわばりが目に見えて軽くなり、太ももの前の痛みも和らいできました。
ここでは施術の方針は保ちつつ、刺激の量を少し調整しています。

そして直近の5診目。立ち上がりや歩行時の痛みが軽減し、「とても楽になった」と喜んでくださいました。
改善の傾向が安定してきたため、今は再発を防ぐことを意識した施術へと移っています。

自宅でのひと工夫が回復を後押しする

施術の効果を長持ちさせるには、ご自宅での過ごし方がとても大切です。
私はこの方に、いくつかの具体的なアドバイスをお伝えしました。

まず、朝起きる前に布団の中で足首や膝を軽く動かす体操です。
いきなり立ち上がるのではなく、体を目覚めさせてから動き出すことで、起床時のつらさがやわらぎます。

次に、冷え対策として腰やお腹の下のあたりを温めること。
冷えは痛みを強くする大きな要因です。
そして、痛みが強い午前中は無理をせず、散歩は体が楽になる午後に行うようにお伝えしました。

私はよく、鍼灸で提供できる最終的な目標は「生活の質の向上」だとお伝えしています。
今のつらさが10だとしたら、それが3まで減ればとても楽になりますし、1まで減ればほとんど気にならなくなります。
もちろんゼロを目指しますが、痛みが少し残っていたとしても、やりたいことができる体を取り戻すことこそが大切だと考えています。

こうした小さな工夫の一つひとつが、体の回復力を後押しします。喜んでくださったこの方は、その後、追加の施術プランを選んでくださるようにもなりました。年のせいとあきらめていたことが少しずつできるようになる。その報告をいただく瞬間が、私にとって一番うれしい時間です。

まとめ

病院で変形や老化現象と診断されても、症状の軽減はあきらめる必要はありません。
原因を丁寧に見立て、体の回復力を取り戻していけば、朝のつらさは必ず変えていけるものだと私は思っています。

・脊柱管狭窄症と診断され、朝の痛みが取れない
・「年齢のせい」と言われ、あきらめかけている
・投薬や注射だけでは改善しきれない

金沢市のトキの森鍼灸院がお力になれるかもしれません。
まずはお気軽にご相談ください。詳しくはこちらをご覧ください。
トキの森鍼灸院

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中田和宏
専門家

中田和宏(鍼灸師)

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