<歯科医師が解説>セカンドオピニオン??治療途中で歯医者を変えるのは…(歯医者選び)
1.歯根嚢胞(しこんのうほう)って聞いたことありますか?
皆さんは歯根嚢胞(しこんのうほう)って聞いたことありますか?
嚢胞(のう胞)とは簡単に申し上げると膿の袋のことです。深い虫歯などが原因で歯の内部まで細菌が入り、それを放置した場合や、深い虫歯で歯髄(歯の神経)を取って根管治療(いわゆる根の治療)を行った後、根の先が膿んでくると歯根嚢胞ができることがあります。歯科治療の際にレントゲン写真を撮影すると見つかることが多く、日常的に見られるものなので、珍しい疾患ではありません。専門家プロファイルのQ&Aでは、この歯根嚢胞に関するご質問が非常に沢山きますので、今回のコラムでは歯根嚢胞の一般的性状と治療法について解説したいと思います。
<歯根嚢胞に関するQ&A>
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歯根嚢胞は症状があっても鈍痛や硬いものを噛んだときの違和感程度で、普段はほとんど無症状で経過することが多いです。ゆっくりと発育するため、短期間に巨大化することはありませんが、何年も放置していると直径2センチ以上になってしまう場合もあります。大きく育つとサイズによってはちょっと厄介場合もありますので、早めに対処したいものです。
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2.歯根嚢胞の治療法は?
治療法については嚢胞のサイズや原因になった歯の状態などにより、様々なアプローチが考えられます。ちょっと専門的な話になりますが、治療方針としては、
1)根管治療(根の中を洗浄消毒しきれいにする治療)のみ行う。 嚢胞が直径10ミリ未満で小さい場合は根の治療で消失する場合もあります。
2)嚢胞のみを摘出する。原因となった歯は根管治療を行い保存する。
通常は歯肉を切開し、顎骨の側面に摘出すべき嚢胞に見合ったサイズの穴を開けて摘出する。
3)原因歯を抜歯し、抜歯した穴を少し広げて嚢胞を摘出する。
4)開窓療法=嚢胞の壁の一部を取り払い、嚢胞内部の減圧を図り縮小するのを待つ。しばらく経って、小さくなったところで摘出する。
などが考えられます。
どの治療法を選択すべきかは、歯自体の状況、歯と嚢胞の位置関係、嚢胞(と思われる病変)のサイズや形状と血管などとの位置関係、その他の条件を加味して選択します。
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例えば1)、2)を選択した場合に、原因歯の根っこ自体が傷んでいると、嚢胞が再発する可能性がございますし、一般的には大きな嚢胞は3)あるいは4)を選択することが多いです。
また、通常は奥歯の歯根嚢胞では3)を選択することが多いです。理由は奥歯は根が複数本あるため、根と複雑に絡み合うことで、病変の取り残しを生じやすいからです。
また、建前としては、「画像診断で歯根嚢胞が疑われる」という状態で治療が開始されますが、もしかしたら嚢胞以外の病変の可能性もあるわけです。根の治療で完全に消失してしまうか、手術が選択された場合ならば、診断が確定されるのは、実際に摘出物を病理検査してからになります。従って安全かつ確実に摘出できる方法が好ましいのです。
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小さな嚢胞ならば普通の歯科医院でも治療可能ですし、大きな嚢胞の治療なら、口腔外科が専門的な治療を行います。かかりつけの歯科医師とよく相談していただき、必要なら口腔外科を紹介してもらいましょう。
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