コラム
<医学博士が解説>歯科の感染防御対策② 手洗いとグローブについて
2013年12月8日 公開 / 2018年3月30日更新
1.グローブは患者さんを守るためのものではありません
今どきはグローブしない歯科医師や外科医はあまりいないとは思いますが、原則的にはグローブは私たちを感染から守るものであって、患者さんを守るためのものでありません。
今の40代、50代ぐらいまでの医師、歯科医師は、学生時代の病院実習などでもグローブをするのが当たり前で、それで慣れてしまっているため、グローブしないで処置を行うことはまずないのでは・・・と思います。余談になりますが、診査時や患者さんとお話しする際には、グローブは外しています。まだ処置に入る前にグローブをしていなかったら、神経質な患者さんから「手袋をしてください!!(怒)」ってキレられたことがございます(笑)。
ちなみにご年配の高名な外科医の先生や歯科医師の中には、繊細な治療を行う上で手先の感覚を大切にするために、あえてグローブを使わない先生方も実際におられます。私は恐くて真似できませんが。。
歯科衛生士や助手を感染から守るために
2.手指に強い消毒薬は使えない
感染防御の観点からご説明すると、HIVなどと比べて感染力の強いとされる肝炎ウイルスなどでも、石鹸でよく揉み手洗いを行えばきれいに洗い流せるとされています。ただし、よくすすぐ必要がありますので、あまりよく洗っていなければ感染のリスクがあるかもしれません。
歯科の感染防御対策① 器具の滅菌について
ついでに申し上げれば、今ではどこでも置いてある刷り込み式の手指の消毒薬(エタノールなどを主体としたもの)などはバイ菌はともかく、肝炎ウイルスのような強いウイルスには無効ですから、結局は強い消毒薬が使えない手指は、よく石鹸をつけて手洗いすることが大切です。
また、グローブを患者さんごとに取り換えていても、グローブを着けたまま触る器械や操作パネル、ライトや吸引管の取っ手などはアルコール消毒では不十分ですから、当院では写真のような使い捨てフィルムを貼り、患者さんごとに取り換えています。正直なところ、器具の消毒・滅菌はしていても、医療用のフィルムカバーを使っている歯科医院はほとんどありません。大変重要な問題でありながら、完璧に感染対策を講じようと思ってもコストや手間の問題もあり、すべての歯科医院で十分な対策がとれていないのが現状だと思います。
「医療もサービス業?!」の新常識に感じる違和感
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