<歯科医師が解説>右も左も歯がしみる…くいしばり・歯ぎしりと知覚過敏の関連性について(歯科・口腔外科/茨城県)

飯田裕

飯田裕

テーマ:口腔粘膜疾患(口内炎)、口腔内不快症状

 歯の知覚過敏(虫歯じゃないのに歯がしみる)と睡眠中の食いしばり・歯ぎしり(ブラキシズム)には、実は密接な関係があります。ストレスを抱えていてよく眠れていない方や、授乳中の女性に歯ぎしりが多く、知覚過敏も高頻度でよく見られます

1.睡眠中の食いしばりとは?

 睡眠中の「くいしばり」や「歯ぎしり」は、無意識のうちに強い力で上下の歯を押し合わせたり、こすり合わせたりする習慣です。1回の食いしばりでかかる力は、自分の体重以上(数十~100kg以上)になることもあります。中には起きている時には出せないような強い力でくいしばっている方もいらっしゃいます。

歯痛

2.食いしばり・歯ぎしりが知覚過敏を引き起こすメカニズム

①エナメル質の微細な損傷
 強い咬合力で歯の表面(エナメル質)がわずかに欠けたり、ひびが入ったりします。その結果、内部の象牙質が露出して冷たいもの・甘いものにしみやすくなります。

②歯頸部(歯と歯ぐきの境目)のすり減り
 食いしばりや歯ぎしりの力が加わると、歯の根元部分に「くさび状欠損(くぼみ)」ができることがあります。ここは歯の表面の硬い結晶構造であるエナメル質が薄く、内側の象牙質が露出しやすく、知覚過敏の原因になります。



③歯肉の退縮(歯ぐきが下がる)
 強い力が慢性的に加わると、歯ぐき=歯肉が下がり、歯の根の部分(象牙質)が露出します。露出した部分は歯の内部に刺激が伝わりやすくなります。

④歯髄(神経)への慢性的な刺激
 長期的な食いしばりは歯の中の神経を刺激してセンシティブになるため、冷たいものや噛むときに痛みを感じやすくなります。

3.歯ぎしり・くいしばりを疑うサインとは?

 歯ぎしり・くいしばりの強さや頻度にもよりますが、以下のような症状が複数ある方はくいしばり・歯ぎしりの可能性があります。

・朝起きたときに顎が疲れている

・時々、歯や顎に鈍い痛み・違和感がある

・歯がしみる(特に冷たい水・歯磨きのとき)

・歯がすり減っている、平らになっている

・歯の根元にくさび状のくぼみができている

4.歯ぎしり・くいしばりによる知覚過敏の治療法・予防法


①ナイトガード(マウスピース)の使用
→ 寝るときに装着して、歯を物理的に保護します。市販のスポーツ用のものはフィット感が悪く、厚みも不足しており、くいしばり・歯ぎしりにはほとんど効果がありません。



②ストレスコントロール
→ 食いしばりはストレスや緊張と関係が深いので、リラックスする習慣が大切です。現代人には難しいかもしれませんね…。

③知覚過敏用の歯磨き粉の使用
→ 神経への刺激をブロックする成分(硝酸カリウムなど)を含むものを使うと緩和します。

④歯科クリニックでの処置
→ 露出部にコーティング材を塗る・欠損部を詰める・咬み合わせ調整など。

 知覚過敏が強くなってきたと感じる場合は、歯科医院で「食いしばりの有無」と「虫歯の有無」をチェックしてもらうのがおすすめです。早期対応で進行を防げます。

つくば・土浦の歯科・口腔外科/インプラント治療の専門医
つくばオーラルケアクリニック(歯科・口腔外科) JR常磐線荒川沖駅より徒歩5分
つくばオーラルケアクリニック公式HP

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飯田裕
専門家

飯田裕(歯科医)

つくばオーラルケアクリニック

東京医大病院、東京共済病院などで口腔外科診療や手術を担当。放射線科でCTの画像診断、麻酔科で全身麻酔の研修を修了。この経験を生かしてインプラントの的確な事前診断、手術を実践。

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