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浅井知彦

コンクリート住宅設計のプロ

浅井知彦(あさいともひこ) / 一級建築士

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

コラム

家に住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【キッチンに関する不満】

2014年5月26日 公開 / 2020年5月12日更新

テーマ:神戸、芦屋、西宮で家を建てる

コラムカテゴリ:住宅・建物

家を建てた後にはじめてわかる失敗ポイントやイライラポイント、今回はキッチンについてです。

【参考】住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【シャワーに関する不満】

【参考】家に住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【家がゆれる、きしむ】

キッチンは毎日使う場所ですので、ここが気に入らないと折角の注文住宅に大きな不満を抱え込むことになります。

ここでは、「使ってみないと判らなかったキッチンの不満」というテーマで、幾つかの注意点を挙げていきます。


◆キッチンに調理家電が置けない【スペース不足、コンセント不足】

キッチンで使う家電は、想像しているより増えてしまうことが多いようです。

まず、炊飯器、電子レンジ(オーブンレンジ)、オーブントースター。これらの殆どの家庭にある調理家電については、システムキッチンでも置き場所が想定されています。

ジューサーやコーヒーメーカー、フードプロセッサー・・・お菓子を作る家ならハンドミキサーもあるかもしれません。

最近では、ヘルシーなノンオイルフライヤーも人気のようです。

・・・このあたりになると、システムキッチンの基本モデルプランでは置き場所が困ることがあります。

さらに今後のことを考えると、今まで想像もしていなかった調理家電を購入することがあるかもしれません。


また、調理家電を使うには当然、コンセントが必要なのですが、キッチン内には意外とコンセントがありません(コンセントは水が掛かるところには設置出来ないので、シンクまわりにコンセントは設置出来ません)。


種類もデザインも豊富なシステムキッチンですが、本当に使いやすいものは「自分に合わせて」検討をした上で、選ぶ必要があります。

どういう使い方をしたいのか、設計者にもよく説明して、慎重に選んで下さい。


◆料理したときの臭いが気になる【レンジフード、換気扇の位置が問題】

揚げ物料理をしたときや魚や肉を焼いたときにでる臭いは、かなり広がります。

レンジフードも万能ではありませんので、魚や肉を焼いたとき、揚げ物をしたときの臭いなどは、すべてを吸い取れないこともあります。

しかも、最近の家の多くはキッチンとリビングが一体化しているため、間取りによってはリビングまで臭いが広がってしまいます。

料理している間だけ、一時的なことならしょうがないのですが、リビングに広がった臭いがいつまでもとれないというのでは困ります。

オープンなキッチンでも、こんなことにならないようにするには、どうすればいいのでしょうか?


料理のときの暖かい空気は、臭いと共に上に上がります。

上昇した空気が何処にいくのか・・・リビングとキッチンが繋がっていれば、リビングの天井にもその空気が溜まっていくでしょう。

こうなると、いくらレンジフードを廻しても、レンジフードから上にある空気は入れ替わりません。

天井の高い部屋でオープンなキッチンを計画しているときは、レンジフードより上、天井付近にもうひとつ換気扇を付けておくと良いでしょう。

【参考】キッチン選びで注意して欲しいこと

料理の臭いは、暖かい空気に乗って上方向に広がっていきます。

たとえば吹き抜けのあるリビングダイニングなら、部屋全体に広がる可能性もあります。

空気の流れを読んで、効果的に空気が入れ換えられる方法を考えておきましょう。


◆料理したときの臭いが気になる【IHコンロの場合】

火を使うガスコンロに比べて、臭いの発生も少ないと思われているIHコンロですが、意外な欠点もあります。

それは、火を使わず上昇気流が発生しないため、臭いが溜まりやすいことです。

火を使うガスコンロでは、コンロ廻りの空気も一緒に暖められるため、上昇気流が生じて全体的に空気が入れ替わっていきます。

結果として、料理の臭いは上昇気流とレンジフード吸い上げ力で、外に排出されます。
(ガスコンロを使って炒め物などをしているとき、高い位置で胡椒などを振ると、粉が舞い上がっていうのが判ります)

IHコンロでは、この上昇気流が弱いため、臭いの広がり方がガスコンロとは違うようです。

IHコンロを使う場合は、ガスコンロより吸い上げ力が弱いことを理解した上で、キッチンのプランを考えた方が良いでしょう。

最近では、上昇気流の弱いIHコンロ用に横引きに換気扇もあるようです。

換気扇

写真は、グリーンハイキという会社の製品です。

コンロの上にレンジフードが無くなるので、見た目はかなりスッキリします。


◆ゴミの置き場が気になる

キッチンといえば、ゴミ置き場の位置も計画の中に入れておきましょう。

キッチンで発生するゴミは、普通ゴミ(生ゴミなど)だけでなく、ビン・缶類、食品トレーなどのプラスチックなど、分別が必要なものが多くあります。

ゴミの分別は住んでいる場所によって異なりますが、少ないところでも3種類くらい、多いところでは20種類以上の分別が必要な自治体もあります。

そのすべてをキッチンに置く必要はありませんが、少なくともキッチンで発生するゴミについては、分別してた上で、臭わないようにしておくスペースが必要です。

※生ゴミについてはディスポーザを設置するという方法もありますが、ディスポーザは自治体によって設置基準が異なります。ディスポーザの設置を希望する方は、事前に設計者に相談してください。


◆食品がストック出来ない

食品の買い置きの多い家、食品の宅配を利用する家は、食品のストック場所も必要です。

そういう場合、キッチンの近くに独立した食品庫を作ることをおすすめします。


また、来客の多い家では、飲み物用の冷蔵庫やワインセラーがあっても良いかもしれません。

ワインセラー

写真は東芝のワインセラーです。ワイン19本を保存出来るようです。

このワインセラー、値段は小型冷蔵庫くらいと、機器自体はそんなに高いものではありませんが、設置スペースも小型の冷蔵庫くらい必要です。

2台目の冷蔵庫を置きたい方は、設計時にスペースを確保しておくと良いと思います。

デザイン性の高いワインセラーなら、リビング近くに置くのも良いですね。


◆自分に使いやすいキッチンとは?

たとえば、お菓子作りや下準備に時間の掛かる料理を作る人なら、スツールのあるキッチンもおすすめです。

子供にお手伝いをして欲しいのなら、二人でも作業出来るスペースのあるキッチンが良いでしょう。

キッチンの後ろのスペース(シンクと食器棚の間)は、「一人で料理するのか」「二人で料理することがあるのか」でも、広さが変わってきます(私の注文住宅の設計では広さを変えています)。


スツールのあるキッチン1

スツールのあるキッチン2

写真はトーヨーキッチンのシステムキッチンです。

キッチンは使う人によって随分変わってくるものです。

折角の注文住宅なのですから、自分に合わせたキッチンを設計して、ストレス無く料理をして欲しいと思います。


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