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浅井知彦

コンクリート住宅設計のプロ

浅井知彦(あさいともひこ) / 一級建築士

レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所

コラム

家に住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【家がゆれる、きしむ】

2014年4月15日 公開 / 2024年1月19日更新

テーマ:神戸、芦屋、西宮で家を建てる

コラムカテゴリ:住宅・建物

家を建てた後にわかる失敗ポイント、イライラポイントについての2回目です。

ちなみに、第1回のテーマは「シャワーについて」でした。

【参考】住んでからわかる失敗、イライラポイントとは【シャワーに関する不満】


今回のテーマは、「家がゆれる」「家がきしむ」ことについてです。



ずっとマンションに住んでいる人には判らないかもしれませんが、戸建ての家は建築構造によっては結構ゆれるし、きしみ音もします。

今まで古い木造住宅に住んでいた人なら、揺れや軋み音には驚かないかもしれません。

しかし、鉄筋コンクリートのマンションに住んでいた人が家を新築して引っ越した場合、この「ゆれ」「きしみ」が気になるかもしれません。


最初にいっておきますが、ちゃんと構造計算された家で、ちゃんと施工された家なら、ゆれたりきしんだりしても特に危険な訳ではありません。

それでも、この「ゆれ」や「きしみ」は、住んでる上で気になるという方は多いと思います。

今回は、これらのことについて説明していきます。

※「ちゃんとした構造計算された家」についてですが、木造2階建て住宅の場合、確認申請時の構造計算書の添付が義務づけられていない場合があります。
【参考】木造住宅は地震に弱いのか?
木造2階建て住宅を建てる前には、構造計算での安全確認がきちんとされているかどうか、確認した方が良いかもしれません。





階段がゆれる、きしむ

階段を上り下りするとき、ギシギシと音をたてる。または、足下が微妙にゆれる気がする・・・これは住んでいて、結構、気になるポイントです。

しっかりしていない階段は、上り下りで不安になります。

こうならないための対策を考えていきます。

まずは木造階段の場合。

基本的な対策としては、踏み板の固定をしっかりとすること、踏み板の厚みを厚くすることなどが考えられます。

これで、かなりの部分は改善されると思います。

木造階段
この階段だと、踏み板の厚みが6cmあります(幅は90cm)。

これくらいの厚みがあると、たわみを感じることはありません。


鉄骨階段の場合、材料の性質上、どうしても音が響く傾向があります。

特に気を付けて欲しいのが、「薄くてスタイリッシュな階段」です。

デザイナー住宅などでは、階段全体を鉄で作る(スタイリッシュに見せるために薄く作る)ことがあります。

場合によっては、片側のみ固定した「片持ち」構造にしたり、踏み板を薄い鉄板で仕上げることもあります。

こういう階段は、上り下りで音が発生したり、揺れたりする可能性が高いことを覚悟して下さい。
(見た目は良いのですが・・・)

RC階段
鉄筋コンクリート+木で作られた階段。

足に触れる部分は「木」ですが、これだと「ゆれ」も「きしみ」も全くありません。

床鳴り

床鳴り(歩くと床からきしみ音がすること)は、木造の床でおこる現象です。

音の発生原因は様々で、一概にはいえません。

最近の構造設計では床の剛性を上げる傾向にありますので、以前より床鳴り減っているとは思います。

しかし、木造住宅で床鳴りが発生した場合、その発生原因を追及することは、非常に困難です。

大きな床鳴り音がするときは何らかの問題がある可能性がありますので原因究明が必要ですが、小さな音ならしょうがないと諦めた方が良いかもしれません。


また、子供のいる家では、子供がはしゃぐ音が下の階に音が響くことがあります。

家族同士なら気にならないかもしれませんが、生活時間の異なる2世帯住宅などでは、この音が問題になるかもしれません。


床鳴りしない、子供が飛び跳ねても下の階に音が響かない、そういう家を建てるのでしたら、床を木造以外にするのが効果的です。

たとえば「重量鉄骨構造+床をデッキプレート」や「鉄筋コンクリート構造」にすれば、上の階の音が下に響くことはほとんど無くなります。

床鳴り、床のたわみ、下階への騒音が気になるという方は、建物を鉄骨(床はデッキプレート)あるいは鉄筋コンクリート構造にするのが効果的です。

床のたわみ

床のたわみは、部屋に重量物を置いた場合に発生します。

住宅の場合、重量物の代表といえば、「本」です。

新築住宅なら、どんな風に本棚を置いても大丈夫と思われるかもしれませんが、そうではありません。

巨大な本棚を部屋の真ん中に置けば、床がたわむ可能性は充分あります。

【参考】本の多い人が建てる家(書庫/書斎/図書室のある家)

床の構造を後から強化することは困難です。

蔵書の多い人は、床の構造に気を付けてください。

強風、台風で家が揺れる、きしみ音がする

木造の戸建て住宅の場合、台風などの強風で家がゆれたり、きしみ音がしたりすることがあります。

もちろん、強風で家がゆれるからといって、即座に構造的な危険がある訳ではありません。

しかし、今まで鉄筋コンクリートのマンションに住んでいた人からすれば、ただでさえ天候が大荒れの中、家がゆれ、きしみ音がするのは不安感を増大させることになるかもしれません。

【参考】竜巻、台風などの風害に安全、安心な家を作る方法

木造の家は軽く、ゆれに対してもねばりのある構造になっています。

ちゃんとした構造計算がされた家であれば、多少ゆれても問題ありません。


地震で家がゆれる

これについては、以前も少し書いています。

【参考】地震に強い家

地震に強い住宅を作るには、
しなやかで粘りがあり、壊れない
あるいは
剛性が高く壊れない
という2つの考え方があります。

これらは、それぞれ、
 「しなやか」 → 在来木造、鉄骨造
 「高剛性」 → 鉄筋コンクリート(ツーバイフォーも、こちらに近い)
という構造になっています。

当然「しなやか」で地震に強い家は、地震でゆれます。

地震に対して弱い訳ではありませんが、この「ゆれ」が気になる方は、鉄筋コンクリートあるいは壁量の多いツーバイフォーを選んだ方が良いかもしれません。

ハウスメーカーの住宅は?

ハウスメーカーの住宅の場合、家の構造は独自の規格で設計されています。

たとえば鉄骨構造といっても、軽量鉄骨や重量鉄骨、鉄骨だけど床は木造だったりと、メーカーによって作りは全然違います。

もし家の「ゆれ」や「きしみ」が気になるようでしたら、建てる前にハウスメーカーのモデルハウスに行き、実際の様子をチェックしてみてください。

1階、階段、2階など、いろんなところで「飛び跳ねて」みれば、実際の「ゆれ」や「音」を想像する参考になるかもしれません。

「飛び跳ね」をやりすぎると営業の人に怒られそうですが、家を建ててからでは遅いですから、出来る範囲でチェックしておくことが大事だと思います。

揺れる家は嫌!揺れないしっかりした家を建てたい人

ここまで住宅の「揺れ」について書いてきました。

ざっくりと纏めるなら、家で感じる「揺れ」のすべてが家の脆弱性に直結するものでは無いということでしょうか。

しかし、実際に住んでいると「揺れ」や「きしみ音」は不快であり、不安を感じることは間違いないと思います。

【参考】強風、突風、台風で家が揺れる。家がきしむ。


揺れる家は嫌!揺れない、軋まない、しっかりした家を建てたい・・・こういう人には家の構造を鉄筋コンクリートにすることをお勧めします。

鉄筋コンクリート構造以外でしたら、重量鉄骨構造(床はコンクリート)でしょうか。


これらの構造でしたら、揺れやきしみを感じることは、ほぼ無くなると思います。

この記事を書いたプロ

浅井知彦

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浅井知彦(レヴォントリ株式会社 一級建築士事務所)

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