デイビッド・セイン著「日本人のちょっとヘンな英語」について考える~その2
こんにちわ、副校長の三宮です。私は大阪市内にあるECC国際外語専門学校という英語の専門学校で教えて15年、その間に1000人を越える生徒さん達に様々な英語の授業を行ってきました。基本英語科目としてのReading, Writing, Grammar, 専門英語科目として翻訳、日本語小論文、Culture English, また英検2級、準1級、TOEICなどの資格試験準備講座。年齢としては、高校卒業したばかりの18歳から最年長は40代の中学校の英語の先生まで。この方は、ご自身の英語をブラッシュアップするために1年間休職されて来られていました。
その前はECCの派遣講師として、TOEICとTOEFLの講座を近畿一円の大学・高校で担当させていただいていました。こうした経験のおかげで今の私があります。様々な生徒さんたちとの出会いを通して、多くのことを学び、そして考えました。日本の英語教育のあり方の問題点、グローバル社会へ向けて本当に役立つ英語とは何か、については今も明確な答えを出せないままですが、目指す方向は定まってきました。このお話はまた別の機会にすることにします。
さて、今日の授業での一コマです。
「卵は、冷凍庫に入れてはいけない」 この日本文を英訳するとき、"Eggs... "で始めようとして、多くの受講生の方々のペンが止まっていました。次に来るのは shouldn't でも cannot でもいいのですが、問題は動詞の部分です。「入れてはいけない」って入れるのは誰?卵じゃないですよね、という所で思考が止まるのですね。
日本語では、主語を頻繁に省略することはよく知られています。 この事と合わせて、英訳の際に困ることの一つに受動態の扱いがあります。 日本語は、しばしば受動態を勝手に能動態に置き換え、しかも主語を省略してしまいます。 そこで冒頭の卵の文が出現することになります。
本来は、「『人は』『卵を』冷凍庫に入れてはいけない」となるべきなのですが、あまりそうは言いませんね。英語に訳すとき、主語を何にするかによって2通りの文章が考えられます。
1 Eggs shouldn't be put in a freezer. 「卵は冷凍庫に入れられるべきではない」
この場合、卵は人によって入れられるので、受動態を使います。しかし、和訳としては上のようにそのままだと不自然な響きですから、「卵は冷凍庫に入れてはいけない」となります。
2 You shouldn't put eggs in a freezer. 「卵を冷凍庫に入れるべきではない」
この時の You は具体的な誰かを指すのではなく、一般的な人全般を指します。 We でもかまいません。 正式な場合には One (人は)と言う形をよく使いますが、卵の話には少し改まりすぎてしまします。
もう一つ、日本語と英語の違いをいう時によく使われるたとえがあります。
「君、何にする?」 「きつねうどんだな」
主語も動詞もない、この「きつねうどんだ」という答えを直訳すると、とてもおかしなことになってしまいますね。
翻訳するという事は、それぞれの言語の特性をよく理解した上で最もスムーズに受け入れられる表現に置き換える作業ですから、日本語と英語のように、構造がかなり違う二つの言語を扱うときはとても注意が必要になります。
神戸ビジネススクールでは、英文ビジネスメールに加え、翻訳作業を業務に新たに加えるべく、現在調整中です。状況が整い次第、お知らせいたしますので今しばらくお待ちください。お問い合わせはいつでもお気軽にこちらからどうぞ。お待ちしております。 http://www.kobebs.com/contact/