5歳で英検?~神戸ビジネススクールの人気コラムシリーズ

グレン・ブラウン

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テーマ:副校長の部屋

5月12日付け産経新聞の朝刊に面白い記事がありました。「英検幼児のお受験過熱 10年で5倍の2500人」(デジタル版はこちらからご覧になれます http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140511-00000067-san-soci)

記事によると、5歳以下の未就学児が英検を受験するケースが近年増えているそうです。少子化の影響と、TOEICへの移行という風潮のせいで、中高生の英検受験者数は減少しています。一方で、教育熱心な家庭での幼児向けバイリンガル教育は、ますます盛んになっています。中には5歳で英検2級合格という例もあるとのことですが、英検協会による公表結果ではありません。その理由は、「年齢や生年月日を正しく記入せず(できず?)、保険証などで年齢を確認しているわけではないため、本当のところ、何歳の子が合格しているのかわからない」からだと言います。

このコラムをお読みになる方は、今までのどこかの時点で英検を受験した経験がおありのことでしょう。ご存知の通り、英検はマークシート方式の試験で、リスニングとリーディング(文法・読解)とに分かれています。筆記の一次試験に合格すると、個別英語面接の二次試験に進みます。レベルとしては、3級が中学卒業、2級が高校卒業、準1級で大学2年程度の実力という設定になっています。

語学専門学校で私が担当している学生の中に、外国から(主としてアジア圏)の留学生が1割ほどを占めていますが、彼らも日本企業での就職を考えて英検2級を受験します。彼らは、リスニングは易しく、まるで子ども向けの会話であるのに、リーティングの内容は非常に難しいと感じるようです。これは、英検が従来から公教育の中高生を受験者として想定して作られたものであることが原因と考えられます。

これまでの教科書主体の英語教育では、どうしても生徒達のリスニングの力がリーディングに比べると弱くなっていました。その点を考慮した結果、このように分野による難易度の差が出ていたと考えられます。しかし近年の子ども英会話ブームにより、未就学児や小学校低学年の児童が外国人から英語を学ぶケースが多くなり、結果として彼らの耳はかなり鍛えられています。したがって、リスニングに限って言えば、5歳児が2級を受験する事もまるきり不可能ではないのかもしれません。

英検協会の面接委員として、私(副校長)は10年近く英検二次試験の面接に携わってきました。守秘義務から詳しく書くことはできないのですが、今までに幼稚園年長(6歳)の女の子を3級で面接したことがあります。椅子に座ると床に届かないので、面接の間中足をブラブラさせていたのが印象的でした。発音はとてもきれいで、最近英語圏の国から帰国したお子さんかなと思っていました。

しかし、新聞記事にもあるように「時間の長い試験なので途中で飽きてしまって、立ち歩いたり、騒ぎ出したり、泣き出したり」するような子どもは他の受験者の迷惑になります。そもそも、自分の年齢を正確に受験票に記入できない子どもが、仮に2級に合格できたとして、それは長文の内容などを正確に理解してのことなのでしょうか。付き添いの保護者のために別室を用意したり、指示文や問題文の日本語にふりがなをつけることを検討したり、英検協会も大変ですが、年齢制限(何歳以上)を設ける事は考えていなさそうなのが、私には疑問に思えます。

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