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英語で「改ざん」と「捏造」は?~神戸ビジネススクールの人気コラムシリーズ

2014年4月13日 公開 / 2017年11月18日更新

テーマ:副校長の部屋

コラムカテゴリ:ビジネス

4月9日に小保方晴子さんの記者会見の模様が報道されました。ご覧になった方も多いと思います。冒頭での陳謝に続き、会見は2時間半に及びました。世界の注目を集めたSTAP細胞の研究データに「改ざん」や「捏造」はあったのでしょうか。今後のさらなる真相究明において、キーにもなるこの二つの単語ですが、英語ではどのように表現すればよいでしょう。

次の見出しは4月11日付毎日英字新聞より抜粋したものです。http://mainichi.jp/english/english/newsselect/news/20140409p2a00m0na013000c.html

A Japanese scientist accused by Japan's premiere research institute of falsifying and fabricating parts of a stem cell research study said that while she was sorry for her papers' shortcomings, her research results remain unchanged.

日本の理化学研究所によって万能細胞の研究に「改ざん」や「捏造」があったと指摘された日本人科学者は、論文の不十分さについて謝罪する一方で、研究結果に変わりはないと述べた。

さてここで使われている、"falsifying" "fabricating"というについて考えてみたいと思います。複数の英和辞書には「 falsify (書類などを)変造する、不正に手を加える、事実を偽る、偽造する」「fabricate (うそなどを)作り上げる、(文書を)偽造する、ねつ造する」などの訳が出ています。用例とともに詳しく解説します。

1. Falsify
英英辞典では "to change or alter an existing fact in order to deceive people"「人を欺く目的で、事実を変えること」と定義されています。

◆例1 He falsified the sales results.
売り上げを良く見せるために、その金額を水増し(100万円を300万円というように)したという意味になります。

◆例2 He falsified his passport application.
例えばアメリカ国籍を得るために、生年月日や出生地を変えた場合はこうなります。

◆例3 She falsified the data.
したがって小保方氏の場合にこの表現を使えば、「STAP細胞の存在を証明するという目的で、元となるデータを書き換えた=改ざんした」という意味になります。

2. Fabricate
こちらは"to completely make up some information in order to deceive people"「人を欺く目的で、情報を作り上げること」という定義です。

◆例1 He fabricated his educational background on his resume.
履歴書に記載した大学を実際には卒業していない時などがこれに当たります。学歴詐称ということです。

◆例2 His life story was a complete fabrication.
名詞の形で使うとこうなります。実際には独身なのに、妻子がいるように装うなど「全くのでっちあげ」だったケースはこの一例に当たります。 

◆例3 She fabricated the data.
もし理研の主張が事実であるならば、1の"falsify"よりこの表現の方が、過失の度合いは深刻さを増します。ここでは、データは全く存在せず、架空のものをでっちあげた=捏造したという意味になります。

どちらも、"in order to deceive people"「人を欺く目的で」の行為という定義です。小保方氏が反論するように、そこに悪意が存在せず単なる取り違えであった場合には、この表現は不適切ということになります。次のようにお詫びしながら深々と頭を下げた「リケジョの星」はこの先どうなるのか、非常に気になるところです。

「私の不注意、不勉強、未熟さによりたくさんの疑義が生じてしまい、理化学研究所の共同執筆者の皆様、また多くの皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまったことを心よりお詫び申し上げます。」
"I express my heartfelt apology for the trouble I have caused many, including my colleagues at Riken and my co-authors, by generating much doubt as a result of my carelessness, inattentiveness and immaturity,"

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この記事を書いたプロ

グレン・ブラウン

ビジネス英語研修のプロ

グレン・ブラウン(神戸ビジネススクール)

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