社内英語研修に必要なもの2「レベルチェックテスト」
グローバル化の昨今、多数の企業で新入社員向けに英語研修を組み入れておられることでしょう。それについては、以前の「新入社員向け英語研修」というコラムで、お伝えしました。
http://mbp-japan.com/hyogo/kobebs/column/43425/
今回は、一般社員を対象とした社内英語研修を新たに開始する場合を考えてみたいと思います。
語学に限らずどんな社内研修にも言えることですが、費用対効果を最大にするために最も重要なことが一つあります。それは、受講者である社員の方たちの動機付け(モチベーション)です。上に言われたから、という半強制的な理由では、新人研修は別として、いずれ出席率が低くなる事は明白です。それでなくとも通常業務で忙しい中、スケジュールを調整して受講時間を確保しなくてはなりません。特に英語研修の場合、海外赴任が迫ってでもいない限り、積極的な受講を続けることは容易な事ではありません。
案外忘れがちなことですが、そのゴールを達成するためにまず必要になるのはクラス分けです。英語に関しては、高校以来英語に触れていない人から、海外留学経験がある人、外国人など、同一企業内での個人のレベル差が大きいことが特徴です。この点が、他のビジネススキルと大きく違っています。ですから、レベル設定は、それぞれの受講生にとって適切でなくてはなりません。自分のレベルよりも簡単すぎる内容だとモチベーションは下がりますし、逆に難しすぎても出席したくなくなってしまいます。
適切なレベルの研修を受けるために、人数が多い場合には特に、レベル別クラスの設定が必須です。受講生の人数が10名を超える場合は、2クラスに分けることが理想的です。すぐに実践向けビジネス英語に入れる中級レベルと、まずは英語になれていく初級レベルなど、事前の聞き取り調査や簡単なチェックにより、クラス分けをしておかなくてはなりません。では、どうすれば正確に受講生の英語能力を測定し、レベル別にクラス設定ができるのでしょうか。
大学の場合は、新入生のクラス分けの基準として、TOEFLの模試といった感じのITPテストがよく使われています。以前は、入試の際の英語の得点を基準にしていた大学がほとんどでした。しかし、入試では、大学入学後に習得していく英語の性質とは違った英語能力しか測れないという理由から、現在ではITPテストを導入する大学が増えています。
企業の場合は、留学に使われるTOEFLでは、ビジネスに必要な英語能力は分かりにくいということで、TOEICがよく使われるようです。TOEIC スコアは、AからEまで5段階に分けられており、860点以上がA、730点~860点がB、企業が新入社員に期待するスコアは465点から670点(Cの大半)となっています。
(国際ビジネスコミュニケーション協会 TOEIC法人向けサイトより)
http://www.toeic.or.jp/corpo/intro01/rookie.html
TOEICのスコアを活用することの利点は、三つあります。回数・場所・費用・実施方法などから、頻繁な受験がしやすいこと。社員の側から見ると、自習によるスコアアップを目指して、学習を継続することが容易であること。企業側から見れば、定期的に受験してもらうことにより、各社員のスコアの伸びを査定しやすいこと。これらの理由から、スコアを英語クラスのレベルチェックに「考慮する」ことは理にかなっていると言えます。
ここで「考慮する」と書いたのは、残念ながらTOEICのスコアだけでレベル設定をすることは、ビジネス英語研修には、あまり有効ではないからです。TOEICでは、基本的にマークシート方式筆記試験のスコアが使われることがほとんどです。従って、スピーキング能力やライティング能力を測ることはできません。SWテストと言われる、スピーキング&ライティングテストもありますが、非常に優れたテストであるにも関わらず、未だにあまり普及していません。
(SWテストについては、以前のコラムへこちらからどうぞ http://mbp-japan.com/hyogo/kobebs/column/31450/)
ビジネスに必要な英語は、通常のTOEICでは測ることが難しいスピーキングやメールのためのライティングが主となります。ここに、TOEICスコアに頼ってレベル設定をすることの危険性があるのです。TOEICのスコアが800点を超えているのに、英語でコミュニケーションをとることがほとんどできないという例は多々あります。逆に、スコアが500点程度でも、専門用語を駆使して不自由なくビジネスが進められる人も大勢います。
それでは、TOEICのスコア以外に、実用的かつ有効な方法はあるのでしょうか。次回に、弊社が考える理想的なクラス分けのための英語レベル判定テストの実際をお伝えします。お楽しみに!
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