ビジネスに最適な国ランキング分析~神戸ビジネススクールの人気コラムシリーズ

グレン・ブラウン

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前回に引き続き、「ビジネスに最適な国」を取り上げます。今回は、そのランキング結果を分析してみましょう。ここで誤解してはいけないのは、上位の国々が必ずしも経済の繁栄を誇っているわけではないということです。

昨年の6位からトップに躍進したアイルランドを見てみましょう。アイルランドでは、失業率が12.7%にも達し、名目賃金も大幅に下降しました。これはつまり、労働力が容易に確保できることを意味します。また、英語圏であり、国民の平均的教育レベルが高いこと、ヨーロッパで最も安い法人税なども好条件となっています。現在アイルランドには1000社以上の海外企業が進出を果たしています。
アイルランド首都ダブリン

2位のわが祖国ニュージーランドはと言うと、前回お伝えしたように昨年の1位から今年は2位になっています。上位10カ国中、1700億USドルと経済規模は最小ですが、GDPの成長率は目をみはるものがあります。ランキング決定の11要因中、個人の自由度と投資家の保護、手続きの容易さと汚職度の低さという4つでトップになりました。

一方、アメリカは2009年に2位につけた後は下降が止まらず、今回は14位でした。長引くインフレとビジネスに関する連邦規則が100以上追加されたことなどが、約460億ドルという多大な損失をもたらしたという調査結果もあります。更に、税制の複雑さと、先進諸国の中で最も高い法人税も、ビジネスに適した国とは言いがたい一因となっています。

ちなみに、145ヵ国中最下位10国のうち、エチオピア、ガンビア、リビア、ジンバブエなど7つはアフリカ大陸にあります。地図上では、上位の国々の多くが真北に当たるヨーロッパ西部に位置しており、対照的な結果になっています。

日本が香港、台湾、シンガポールといった国々と競合していくためには、このリストにある項目のいくつかを再考するべきだと私は考えます。特に外国人の就労ビザを含む手続きの問題と、保護主義の貿易の問題は、比較的検討しやすいでしょう。その意味でTPPは正しい方向へ向かっていると思います。これらの問題が解決されれば、他の要因も自然と改善されるからです。

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