デイビッド・セイン著「日本人のちょっとヘンな英語」について考える~その2
今回は2回にわたって、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS) の教授であるクレイトン・クリステンセン氏(Clayton M. Christensen、1952年生まれ)がCNNに寄稿した"The wrong type of innovation”「間違った種類のイノベーション」をご紹介しようと思います。(原文はこちらhttp://www.inc.com/christine-lagorio/clayton-christensen-capitalist-dilemma.html/)
彼は、初の著作である『イノベーションのジレンマ』によって破壊的イノベーションの理論を確立させたことで有名になり、企業におけるイノベーションの研究における第一人者です。経営コンサルティング会社であるイノサイトを2000年に設立後、イノベーションと企業の成長に関する研究が評価されています。最も影響力のある経営思想家トップ50を隔年で選出する THINKERS50 のトップに2011年に引き続き2回連続で選ばれました。
“Keeping costs down and cash flow positive, while devoting little or no funding to future innovations, has become the norm at too many American corporations. And that lack of investment in disruptive innovation is where the real trouble starts.”
クリステンセン氏はこう述べています。「コストを下げてキャッシュフローを維持し、未来へ向けた改革には資金をほとんど、あるいは全く使わないこと、あまりにも多くのアメリカ企業にとってそれが当たり前になってしまいました。このように、破壊的イノベーションには投資をしないということから、本当の意味での問題点が始まるのです。」
彼はイノベーションを次のような3種類に分類します。
1. “Empowering” innovations「活気づける」イノベーション
これによって、一部の人だけが入手できた複雑で高価な商品が、たくさんの人が手に入れられる簡単で安価な商品へと変わるのです。フォードのTモデルやソニーのトランジスタラジオはこの例に当たります。この改革により、その商品を作る人、流通させる人、販売する人、サービスを提供する人たちが新たに職を得ることになります。
2. “Sustaining" innovations「存続する」イノベーション
これにより、古い商品が新しい商品と取り替えられます。トヨタのプリウスは素晴らしい車です。しかし消費者がプリウスを1台買う度に、カムリは売れなくなるわけです。このイノベーションにより、昨日までの商品は今日の商品と入れ替わります。企業の存続に関わると同時に経済の活性化につながるので、イノベーションと言えばこれ、と考える人がほとんどです。しかし、そこに新たな職や資本への効果はゼロです。
3. “Efficiency" innovations「効率を上げる」イノベーション
既存製品の製作と流通にかかるコストを下げようとするものです。トヨタ自動車の受注製作や保険会社ガイコのオンライン保険などがその例です。このイノベーションでは、新規の雇用は抑えられ、従業員一人当たりの仕事量を増やすことにより、人件費を削減するということが必ず起こってきます。そして資金を他の目的に自由に使えるようにします。そうしなければ、ほとんどの市場の資金は在庫の確保や人件費、予備費用などに回されて終わりということになってしまいます。
現在のアメリカ経済に対し、この3種類のイノベーションにクリステンセン氏はどういう位置づけを与えるのでしょうか。続きは次回をお楽しみに。http://mbp-japan.com/hyogo/kobebs/column/40408/
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